メレディス氏は、Assembly OSMでのCATIAの活用例についても解説。Assembly OSMでは建物を、自動車メーカーが最終製品の自動車を作るのと同じように、パーツやサブアセンブリの集まりとして捉えている。そのうえでCATIAで、建物に必要なパーツやサブアセンブリをデータベース化し、ツリー構造で閲覧できるようにしている。
従来は、Revitなどで建物を設計した段階で、建築家/設計者の仕事は完結した。その後の設計は、ゼネコンや専門工事会社に渡し、それぞれが独自の方法で行っていた。しかし、Assembly OSMが目指すのは設計、製造、調達、配送、取り扱いなどの全てに関する一気通貫のソリューションだ。
ファサードやシャシーなど、どの部品にも従来の建築プロセスでは、部材のライフサイクルは可視化されていない。しかし、CATIA内のツリー・ビューとターンテーブル・ビューは、全てのサブコンポーネントの構成をキャプチャーしている。「従来は全体図があり、それを細切れにして各ピースとなっていたが、CATIAではコンポーネントのカタログを基礎としている」と説明する。
この管理法では、システムの1つを掘り下げると、あらゆる段階でのシャシー設計のバリエーションを参照できる。また、パーツは入れ子にできるので、フロアカセット・システムを複数のバリエーションに適用することも可能だ。
CATIAでは、入れ子構造を活用したデータの管理を行っており、ユニットの製造時にサブアセンブリの各レベルに掘り下げてドリルダウンできる。そのため、シャシーモデルから建材情報や製造情報を確認したり、組立図の作成が可能になる。
また、CATIAでは同じプラットフォーム内で部品表をキャプチャーして管理しており、サプライヤーとの連携時に重要な機能となる。
Assembly OSMでは、CATIAを主要なツールと位置付け、PLM(Product Lifecycle Management)システムとして機能させている。しかし、違うタイプの情報システムが必要になるケースもあるという。
承認図や図面セットの作成は、Revitが使われることが多い。初期の基本設計の検証では、通常Rhinocerosを用いている。他にも、Assembly OSMがカスタム開発したWebアプリケーションで構築するもこともある。
こうした環境で利用されているのが、「CONDUIT CONNECTOR」だ。CONDUIT CONNECTORは、共通のデータモデルでAPIとして提供され、個別システム間の連携と情報のプッシュ/プルが可能になる。
講演では、Rhinocerosで作成した基本設計を、CATIAモデルの構築なしに自動的にCATIAへプッシュする例を示した。また、CATIA内でEKL(Enterprise Knowledge Language)を使用し、モデルに対してシャシー構成の全てのバリエーションを素早く作成するデモも披露した。
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