清水建設とゴーレムは、建設生産過程で生じるCO2排出量を企画設計段階でも自動算出できるCO2排出量算出プラットフォーム「SCAT」を共同開発した。
清水建設とゴーレムは、建設生産過程で生じるCO2排出量を精算見積データから自動算出できるCO2排出量算出プラットフォーム「SCAT(スキャット:SHIMZ Carbon Assessment Tool)」を共同開発したと2023年3月23日に発表した。
SCATは、清水建設の見積積算システムとゴーレムのCO2排出量計算ツール「GORLEM CO2」を連携させて構築。見積積算システムから、GORLEM CO2に精算見積データを誘導し、項目別にCO2排出量を算出することで、建設生産に由来する「Embodied Carbon」を導出するという。
2050年カーボンニュートラル実現に向け、建設生産過程で生じるCO2排出量の削減を進めていくには、前提としてCO2排出量の正確な算出が不可欠な要素となる。一方、建設生産過程での資材製造や建設工事に伴うCO2排出量を人力で正確に算出するには、数千以上に及ぶ膨大な精算見積項目の仕分けが必要で、排出量の計算や集計にも多くの時間を要する。そのため、従来は環境認証の取得やモデル現場での試行など、算出対象が限定されるという課題があった。
こうした課題に対し、今回、開発したCO2排出量算出プラットフォームを使用することで、一連の算出プロセスが自動化。建設生産過程でのCO2排出量算出のハードルが大きく下がり、発注者へのCO2排出量の報告やデータ提供を標準化することが可能になる。
プラットフォームによるCO2排出量の計算方式は、日本建築学会の「建物のLCA(Life cycle Assessment)指針」に準拠し、同指針の派生方式や各種団体が検討を進めている独自方式にも対応できる柔軟性も備えている。そのため、Embodied Carbonの削減に寄与する独自の脱炭素技術の導入メリットを定量的に提示でき、低炭素建築物の設計提案の訴求力が高まる効果が見込める。
また、プラットフォームで算出した建物のCO2排出量を用途や規模別にデータベース化することで、低炭素建築物の設計ノウハウ蓄積や類次案件との比較提案も実現する。
清水建設は、SCATを建設生産にかかわるCO2排出量の可視化や低炭素・脱炭素建築物の設計提案に活用していくことで、Embodied Carbonの削減を後押しし、建物運用にかかわるCO2排出量となる「Operational Carbon」なども含め、建物の全ライフサイクルにわたるCO2排出量「Whole Life Carbon」削減に力を入れていく。
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