戸田建設など5社がワンオペでロックボルト自動化施工を実現施工

戸田建設など5社は、完全ワンオペレーターでロックボルトの自動施工が可能な新システムを開発した。

» 2023年05月05日 07時00分 公開
[BUILT]

 戸田建設、DSIニッシン、旭化成アドバンス、虎乃門建設機械、エピロックジャパンの5社は2023年4月10日、ケミカルレジンカプセル定着材とセミオートロックボルト自動打設機を使用したSFレジンボルト工法により、完全ワンオペレーターで施工可能なロックボルト自動施工システムを開発したと発表した。

危険なロックボルト施工の安全性と作業環境を大幅に向上

 山岳トンネル工事でのロックボルト作業は、ロックボルト孔の削孔や定着材の充填(じゅうてん)、ボルト挿入に分けられ、削孔作業を除き、人力作業が一般的。一連の作業は切羽直近で行われるため、切羽から掘削された表面の土砂や岩が崩れ落ちる肌落ちや高所作業時の墜落、支保工との挟まれなどにより被災するリスクが高く、機械化施工による省人化や無人化が求められている。

 新たに開発したロックボルト自動施工システムの現場適用では、切羽に近づかず、また施工時の高所作業も必要なく、従来の苦渋で危険なロックボルト施工の安全性と作業環境を大幅に向上することに成功した。さらに安定した品質と同時にモルタルでは、1日以上かかる設計強度発現を分単位の短時間で発現するロックボルト施工を実現した。

ロックボルト自動施工システムの試験施工状況 ロックボルト自動施工システムの試験施工状況 出典:戸田建設プレスリリース

 特徴としては、カプセル定着材の硬化時間を15秒から4分、カプセル径や長さも各種選択可能で、さまざまな施工条件に対応する。任意の硬化時間製品も作成できるため、特殊な施工条件下でも最適なサイズと硬化時間を選定し、ロックボルト以外のボルトやアンカー材への応用も可能だという。

 施工時に問題となる天場付近の定着材保持では、ケミカルレジンカプセルはエアーにより射出されるため、上向き孔でもカプセル落下のない安定した定着材のセットと保持が可能となっている。

ケミカルレジンカプセル ケミカルレジンカプセル 出典:戸田建設プレスリリース

 セミオートロックボルト自動打設機では、削孔位置やロックボルト孔削孔、ケミカルレジンカートリッジの孔内へのセット、ロックボルト挿入、ロックボルト挿入後の定着材攪拌混合、硬化までのロックボルト保持までを全て自動化。安全性や生産性の向上だけではなく、機械的に定着材を攪拌混合することで、ケミカルレジン使用時の課題だった安定した品質のロックボルト施工を実現した。

SFレジンボルト工法対応のセミオートロックボルト自動打設機 SFレジンボルト工法対応のセミオートロックボルト自動打設機 出典:戸田建設プレスリリース

 環境面でも、従来のモルタル使用に比べ、セメント粉じんやミキサー内や注入ホース内の残モルタルが発生せず、産業廃棄物であるセメント残袋も生じない。また、作業環境も冷暖房付の遮音性フルキャビン内で行うので、快適な作業環境を整えられる。

 SFレジンボルト工法のケミカルレジンカートリッジは、国内で製造した場合に比べて10分の1以下のコストを達成しているが、作業人員低減による生産性の向上、モルタルポンプの維持費や残材の産廃処理縮減により、材料費以外のコスト縮減が見込め、モルタル定着材と比較しても現実的な価格差となっている。

 今後は、既存の汎用ジャンボに後付可能なSFレジンボルト工法の施工装置を提供し、汎用性を高めていく。後付装置は、ケミカルレジンカプセル射出やボルト挿入、ケミカルレジン攪拌混合、硬化時ロックボルト保持など、一連の機能を含んでいる。

SFレジンボルト工法対応セミオートロックボルト自動打設機 セミオートロックボルト自動打設 出典:戸田建設プレスリリース

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