奥村組とアクティオは、マスコンクリートのパイプクーリングの効果を高めるために、クーリング水の流量・流水方向自動制御するシステムを開発した。このほど、その機能を拡充し、「ひえたくん」と命名して、商標・NETISに登録した。
奥村組とアクティオは、マスコンクリートのパイプクーリングの効果を高めるために開発したクーリング水の流量・流水方向自動制御するシステムについて、その機能を拡充した上で、「ひえたくん」と命名し、商標・NETIS登録したと2023年2月3日に発表した。既に、ひえたくんは道路橋下部工事に適用し、拡充機能を含め有効性を確認した。
マスコンクリートの施工では、構造物の性能や機能を確保するため、セメントの水和熱による温度ひび割れの防止対策を効果的に講じる必要がある。パイプクーリングは、コンクリート内部に配置したパイプにクーリング水を流すことによりコンクリートを冷却する工法で、温度ひび割れを抑制する有効な手段の1つとして用いられている。
今回、商標登録したひえたくんは、パイプを水平方向に設置して冷却することを前提に開発した技術だが、構造物の寸法や形状によっては鉛直方向にパイプを配置した方が効率的な場合もあるため、適用範囲を水平方向だけではなく鉛直方向にも拡充する改良を行った。
さらにパイプクーリングは昼夜にわたって行うため、現場事務所など、遠方からでも常時クーリング状況を確認できる機能も追加した。
特長としては、等間隔に鉛直配置したクーリングパイプの上部をサクションホースで連結して1系統の配管とし、連結部上部にはエア抜きを設置。エア溜(だ)まりの発生や流水方向変更時の管内圧力の上昇を防止する。またWebモニタリングシステムで、遠方からでもモニター画面を通じてクーリング状況を確認し、漏水などの異常発生時には担当者へ自動メールを送信する。
道路橋下部工事の橋脚部に本システムを適用し、鉛直パイプクーリングを実施した結果、コンクリート温度を計画的に制御し、温度ひび割れを防止でき、Webモニタリングシステムによる遠方からのクーリング状況確認も随時行うことができた。
商標登録については、2022年6月27日に「ひえたくん」のネーミングで商標登録を受け、国土交通省が運用する「新技術情報提供システム(NETIS)」への登録を申請。同年9月14日にNETIS番号「KT-220121-A」、新技術名称としてパイプクーリング制御システム「ひえたくん」で登録に至った。
今後は、温度ひび割れの発生が想定される現場打ちコンクリート構造物に対し、品質向上や省力化が期待できる技術として積極的に普及させる考えだ。
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