Japan Drone2022−Expo for Commercial UAS Market−

都市部での飛行許可が免除!“釣り”の発想から生まれた西武建設の外壁検査ドローンシステムJapan Drone2022(1/2 ページ)

西武建設が開発した「ラインドローンシステム」は、建物外壁検査用ドローンシステム。屋上と地上の2点に固定されたラインの間をドローンが飛行するため、飛行の安全性が高く、人口密集地で使用する場合でも国土交通省航空局への飛行許可の申請が要らない。また、建築研究所や東京理科大学と共同で開発している「接触・微破壊式ドローン」は、飛行しながら人の手の届かない高所での削孔に成功した。

» 2022年08月16日 12時39分 公開
[加藤泰朗BUILT]

 「Japan Drone2022|第7回−Expo for Commercial UAS Market−」(会期:2022年6月21〜23日、千葉・幕張メッセ)で、「釣竿とリール、その先にドローン」という異色の展示が目を引いた。日本建築ドローン協会(JADA)のブースに出品されていた「ラインドローンシステム」だ。

釣りのアイデアをもとにしたドローン外壁検査

JADAブースに展示された2点係留装置「西武建設式ラインドローンシステム」

 ラインドローンシステムを開発したのはJADAの隣にブースを出展した西武建設で、正式名称は「西武建設式ラインドローンシステム」。釣竿(ブラケット)にセットされたリールから伸びるラインは、ドローンに取り付けたアダプター(治具)を介して、その先のセイフティポートへと続いている。そもそもが、「釣り好きの開発担当者のアイデアから生まれた」システムだという。

アダプターを取り付けたドローンとセイフティポート(上)。リールもラインも釣り用のものを使用している(下)

 西武建設式ラインドローンシステムの仕組みを簡単にいえば、建物屋上のブラケットと地上に設置したセイフティポートとのライン間を、係留したドローンが上下に飛行しながら写真撮影し、外壁検査する。アダプターを取り付けられる機体は、今のところDJIの「Phantom 3/4」と「Mavic 2」に限られるが、その他の機体向けにアダプター開発も進めている。

 点検対象が高層建物となると、どうしても都市部に集中する一方、都市部ではドローン飛行が別の電波などの影響を受けやすく、飛行が不安定になりやすい。「万一、墜落する事態になっても、ラインで地上(セイフティポート)の想定した位置に戻せるため、安全に検査できることがこのシステムを使用する最大のメリット」だと、西武建設 建築営業統括部 営業企画部 北村亮氏は説明する。

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