奥村組は、柱をRC造とし、梁をS造とする混合構造の施工合理化を目的に、端部がRC造で、中央部がS造の合成梁「奥村式ハイブリッド梁構法」を開発し、日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得した。
奥村組は、柱をRC造とし、梁(はり)をS造とする混合構造の施工合理化を目的に、端部がRC造で、中央部がS造の合成梁「奥村式ハイブリッド梁構法」を開発し、日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得したことを2022年10月3日に発表した。
柱がRC造で梁がS造の混合構造は、純RC造と比べて建物の大スパン化と躯体重量の軽量化が可能で、純S造と比べて居住性に優れ建築コストも抑えられる合理的な構造とされている。しかし、従来構法ではS造の梁がRC造の柱内を貫通するため、柱梁接合部における鉄骨部材の加工が煩雑になっていた。
解決策として、S造の梁をRC造の柱内を貫通させるのではなく、梁の端部を鉄筋コンクリートとし、鉄骨の梁を埋め込んで結合する方法があるが、鉄骨梁の埋め込み長さは鉄骨梁せいの2.5倍以上とする必要がある上、変形性能を確保するための明確な設計基準もないことから、現在の設計基準に適合する効率的な構法が求められている。
そこで、奥村組は、奥村式ハイブリッド梁構法を開発した。奥村式ハイブリッド梁構法は、鉄骨梁の端部を鉄筋コンクリート部材に埋め込み、合成梁(端部がRC造、中央部がS造)とし、柱に結合するもので、主に柱をRC造、梁をS造とする混合構造の梁に適用する。
具体的には、梁主筋端部に機械式定着具を用い、切替部の集中補強筋には中子筋を含めて溶接閉鎖型筋を使用し、鉄筋コンクリート部材に埋め込むS梁には部材損傷抑制のためにリブプレートが使える。
さらに、利用する鉄骨梁の埋め込み長さは鉄骨梁せいの2.0倍以上で、従来構法に比べ短くでき、梁は変形性能の優れたFAランク相当の部材として扱える。加えて、柱梁接合部の配筋が複雑で鉄骨梁を貫通させることが難しい基礎部にも適用し、混合構造における柱梁接合部の納まりを合理化可能で、効率的な施工を実現する。
なお、鉄骨部材の製作性向上と鉄骨数量を減らせる他、従来構法と併せて、建物の条件や顧客の要求性能に応じた最適な構法を選べる。
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