店舗や施設の人検知やエリアカウントなどを実現するエッジAI搭載の“賢くなる”カメラ「Safie One」FM(3/3 ページ)

» 2022年11月27日 09時18分 公開
[柳井完司BUILT]
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スーパーの課題をSafie Oneがどのように解決するか?

 Safie Oneの発表に先立ち、セーフィーはユーザーである大手スーパーマーケット・ベルクの協力を得て、実店舗を借りてSafie One実証実験を行っていた。ベルクは埼玉県を中心とする関東一都六県に127店舗の食品スーパーマーケット「ベルク」を展開しており、以前から設置カメラの映像を用いて、売場での陳列や売れ行きのチェック、バックヤードからのオペレーションなどで、売上拡大や業務改善に活用してきた。

 Safie Oneの発表会では、ベルクのマネジャー2人を招き、佐渡島氏らとパネルディスカッションを催した。ディスカッションは、セーフィーからの「スーパーが抱える店舗管理・運営上の問題点」に関する問いから始まった。

パネルディスカッションに参加した島澤豊氏(ベルク デジタル推進室 次長)と原田裕幸氏(ベルク 取締役 システム改革部長)

 現代のスーパーの課題は、価格から人材教育まで多岐にわたるが、ディスカッションに参加したベルクのマネジャーによれば、特に顧客から寄せられる不満としては「混雑」と「欠品・品ぞろえ」が多数を占める。

 また、セーフィー側の調査でも、「レジ周辺」や売場では「総菜・弁当コーナー」の混雑が特徴的だと判明している。セーフィーの調査では、この総菜・弁当コーナーは欠品や品ぞろの悪さが目立つコーナーとしてもトップに上げられ、店舗にとって商品補充のタイミング判断が難しいコーナーと認識されている。こうしたことから、今回の実証実験ではこの総菜・お弁当コーナーの課題を明らかにし、それをSafie Oneでどのように解決するかがテーマとなった。

スーパーマーケットへの「2大不満」

実証実験で浮き彫りになった従業員でも気付かない店舗の問題点

 2022年4月に行われた実証実験では、ベルク店舗にSafie Oneを計4台設置。総菜・弁当エリアを俯瞰する場所に1台を置き、総菜・弁当エリアを4分割したゾーン計測で、顧客の立ち寄りが一番多いエリアを見える化。その結果、人気商品などを適切に配置する場所を検討し、新たな陳列につなげた。

 また、入口2カ所に置いたSafie Oneで、通過人数をカウントし、入店時のライン検知を実施。店内滞在者数を取得して曜日や時間帯による来店者傾向を把握し、レジ開放や従業員シフトを最適化した。さらに、Safie Oneにより得られた4つの数値(店前交通量、入店者数、滞留者数、購入者数)とPOSによる販売データを連携させ、当該店舗の統合的データを可視化した。

 実証実験の結果は、ベルクにも大きな驚きを与えた。総菜・弁当エリアのゾーン計測の結果は、全く予想外だったとベルクのマネジャーは口にした。「社内で何十人にも質問したが、最も顧客が滞留したエリアを当てられたのは、たった2人しかいなかったので驚かされた」。

 自分たちを含め、店舗従業員の多くが「この場所にはこのボリュームでこの形で展開すればうまく回る」という思い込みがあり、このことが判断を誤らせた。しかし、Safie Oneによる見える化と数値化が、これまで見えていなかった店舗の実像を明らかにしたのである。実証実験ながら、ベルクはSafie Oneの活用を通じて浮き彫りになった問題点をもとに、今後の店舗運営や販売展開のヒントを得たのは間違いないだろう。

ベルク店舗での実証実験

Safieは1つの業種に限らない、建設分野も重点ターゲット

 佐渡島社長は、「Safieのプラットフォームには、多分野のビッグデータが集まる場所。建設現場で“特定の車両が来場したらすぐ分かるようにしたい”といったニーズも出てくるはず。そうなれば、SafieのAIはその特殊な車両を学習し、ユーザーが自分だけのAIを作れることも実現する」と話す。

 今後の展開については、「セーフィーは決して1つの業種にとどまらない。むしろさまざまな業種をターゲットに、顧客とともにしっかりと深堀りしていきたい。そのうえで、取得する膨大な情報資産を生かし、パートナー企業との連携でいろいろなアプリを開発し、次々と機能を加え、エッジAIカメラをさらに賢くしていくことで、多様なインダストリーでSafieを幅広く活用してもらえるようになるはず」と展望を語った。

セーフィー 代表取締役社長CEO 佐渡島隆平氏
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