AirPlugのビルマネジメント領域での活用に関しては、2021年10月竣工の竹中工務店 静岡営業所での先行事例がある。不動産業界では、コロナ禍によって在宅勤務が導入されたことによってオフィスへの出社率が大きく様変わりした。勤務体制の変化に伴うオフィスレイアウトの変更などもあり、オフィスニーズは多様化している。仮に空調だけに限っても、出社率やレイアウトによって異なる制御が求められる。
そこで、竹中工務店では、AirPlugとセンサーを組み合わせてセンシングを行い、オフィスのさまざまな要望に対応する室内空調ソリューションを開発し、2021年11月から空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムを稼働させ、2022年9月26日には日本初となるWPT局第1号を取得した。
竹中工務店の室内空調ソリューションは、オフィス床下にAirPlugの送信機、椅子の座面裏にAirPlug機能を持つセンサーをそれぞれ設置。人に近い場所でセンシングした温度や湿度などをビルの空調監視システムに送り、空調機と連携させている。
竹中工務店 技術研究所 未来・先端研究部 主任研究員 松岡康友氏は、「ワイヤレス給電は、これまでもずっと探していた技術の1つ」とし、給電効率の高さからエイターリンクと実証実験を伴走する形でスタートさせたと語る。
建築分野には、より快適な室内空間を整備するため、温度や湿度を人のより近くで取得したいという需要がある。しかし、ビル全体を対象にするには1万基ものセンサーが必要になり、配線や電池の交換を考えると極めてハードルが高い。しかし、こうした問題を解消するワイヤレス給電であれば、空調や照明の統合管理が容易に実現する。
松岡氏は、「空調・照明という既に顕在化しているニーズのみならず、エイターリンクが掲げる“Power As A Service”という世界が具現化し、どこにいても小さな電力が取れる空間となれば、他にもいろんなサービスやソリューションの開発につながるはず」と展望を口にする。例えば、壁掛けで充電状態にある空調のリモコンも、ワイヤレス給電ならば人の手元に置いたままで使えるようになる。
さらに、省電力で使える監視カメラやセンシング用センサーもワイヤレス化されると、メンテナンスコストが抑えられるだけでなく、設置の自由度が増す。そのため、あらゆる建築物を対象に、快適性、利便性、安全性を備えた高度な建築空間をワイヤレス給電の技術で生み出せるようになるかもしれない。
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