飛島建設は、寒冷期にコンクリート工事の施工時間を短縮するために、コンクリートの凝結を促進する混和材を散布・撹拌することで、コンクリートの上面仕上げ作業着手までの待機時間を2〜4時間短縮する散布型コンクリート凝結促進工法「T-CROW」を開発し、日本建築センターの評定を取得した。
飛島建設は、寒冷期にコンクリート工事の施工時間を短縮するために、コンクリートの凝結を促進する混和材を散布・撹拌することで、コンクリートの上面仕上げ作業着手までの待機時間を2〜4時間短縮する散布型コンクリート凝結促進工法「T-CROW(Transform into Concrete to Reduce Overtime for Workers)」を開発したことを2022年11月1日に発表した。
コンクリート工事作業の1つである上面の仕上げ作業では、コンクリートの打込み終了後、仕上げ作業を実施するのに適した硬さになるまで待機しなければならない。しかし、低温の環境下では、コンクリートの凝結進行が遅くなるため、待機時間が長くなり、長時間労働の要因になっている。
解決策として、凝結の遅延を解消するために、耐寒促進剤や硬化促進剤などの混和材料が利用されるケースもあるが、コンクリートの配合設計を実施し、試験練りによって品質を確認する必要があり、適用までのプロセスが煩雑で混和材料の添加により単価が上がるなどの問題があった。
そこで、打込んだコンクリートに凝結促進剤を散布・撹拌する手法を用いることにより、凝結促進剤を適用したコンクリートの配合設計を必要とせず(現場のみでの運用が可能)、かつコンクリート表層のみに凝結促進剤を適用することで、凝結促進剤の使用量を抑え、低コストで運用するT-CROW工法を開発した。
T-CROW工法は、カルシウムアルミネートを主成分とした粉体の凝結促進剤を散布し、専用の撹拌機を用いてコンクリートの表層30ミリに練り混ぜることで、コンクリートの上面仕上げまでの待機時間を2〜4時間短縮させる。なお、凝結促進剤の散布量に関して、標準量は1平方メートルあたり200グラム(上限は400グラム)。
さらに、粉体を極力均一に散布が可能で、吐出量が調整できる市販の散布機を利用している他、使用する撹拌機には、コンクリートの表層のみを撹拌する専用撹拌機を開発し、採用した。撹拌機の羽根は、X型で配置されおり、羽根自体が撹拌を行う面に対して一定の角度がついているため、コンクリートの表層を一様に撹拌する。
撹拌治具の後ろ側には、ガイド板も装着しており、撹拌深さを一定にする役割と撹拌後のコンクリートを平らにする機能を担っている。ちなみに、凝結促進剤の撹拌は、撹拌機の回転速度を1分間に300回転以上とし、20秒当たり1メートルの進行速度を実現した。
既に、飛島建設は、T-CROW工法による仕上げ作業開始までの待機時間短縮効果を検証する実証実験を行っている。実験では、普通コンクリートの呼び強度の範囲である呼び強度21、30、45の3水準を設け、10度の環境温度で実施した。その結果、1平方メートルあたり200〜400グラムで散布し、仕上げ作業開始までの待機時間を2〜4時間短縮する効果があることを確かめた。
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