ステレオカメラとAI認識の技術を用いた新たなクレーン作業安全支援システムAI

リコーインダストリアルソリューションズは、東洋建設と共同で実施した実証実験を通して、「クレーン作業安全支援システム」を開発した。クレーン作業安全支援システムは、2022年10月に新技術情報提供システム(NETIS)に登録され、クレーンを使用する現場における安全性向上への有効性が認められている。

» 2022年11月07日 09時00分 公開
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 リコーインダストリアルソリューションズは、東洋建設と共同で実施した実証実験を通して、「クレーン作業安全支援システム」を開発したことを2022年10月31日に発表した。

クラウドで現場のデータを蓄積し学習してさまざまな現場で作業員の位置を検出

 建設、土木、製造業などの現場で活用されるクレーンは、作業環境によっては吊り荷と作業員の接触事故を引き起こす危険性がある。とくに、クレーン操縦者が吊り下ろし場所を目視で直接確かめられず、合図者の誘導にのみ頼る場合などは、作業者、操縦者、合図者の作業負荷や心理的負荷が高くなるため、技術の活用による負担軽減が求められている。

 そこで、コーインダストリアルソリューションズはクレーン作業安全支援システムを開発した。

「クレーン作業安全支援システム」のイメージ 出典:リコーインダストリアルソリューションズプレスリリース

 クレーン作業安全支援システムは、これまで主に誘導員が目視で対応していたクレーン作業現場の安全確認をデジタル技術で支援するソリューション。

 具体的には、リコーインダストリアルソリューションズが長年培ってきたステレオカメラ技術とAI認識技術を活用することで、吊り荷と作業者を自動検出してその位置関係を立体的に測定できる。

 加えて、測定結果をもとに衝突の危険性を検知し、クレーン操縦者に知らせることで衝突事故を防ぐ仕組みを採用しており、作業の安全性に課題があるさまざまな現場で役立つ。

 また、クレーン先端に設置したステレオカメラの映像で、吊り荷と吊り下ろし場所の作業員位置を検出・追尾し、吊り荷と作業員が接近すると警報を発することで、作業員全員の安全作業をサポートする他、クラウドと連携し、遠隔地の管理者への通知や作業状況の記録・管理も実現する。

クレーン作業安全支援システムによる人、吊り荷、フックの認識状況 出典:リコーインダストリアルソリューションズプレスリリース

 さらに、クラウドを通して現場のデータを蓄積し学習して、多様な現場でも高精度に作業員の位置を検出することが可能。なお、海上での消波ブロック設置工事の作業における、人、フック、吊り荷の認識精度と認識結果、距離情報を使った危険判定の項目で有効性が確認され、NETISに登録されている。

クレーン作業安全支援システムのカメラが取り付けられた実際の作業現場 出典:リコーインダストリアルソリューションズプレスリリース

 ちなみに、ブラウザ上で使えるアプリを活用することで、クレーン作業安全支援システムにより抽出された各現場の危険シーンと作業シーンの録画を用いて、現場での危機管理を学べる。

 今後は、現在での有効性が確かめられている海上の現場だけでなく、建設、土木、製造業など、さまざまな顧客の現場で運用していく。将来は、現場の安全だけでなく、建設作業機械の自動化施工への応用を達成する他、作業効率やオペレーションスキルの可視化などデジタルサービスへの展開を行う見通しだ。

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