エウレカは、建設機械の接触事故を防止する産業用車両リスク回避支援システム「synxtera(シンクステラ)」と作業範囲警戒人検知システム「Obvision(オービジョン)」を開発し、2021年5月12日に受注を開始した。
エウレカは、「第3回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO)」(会期:2021年5月12〜14日、幕張メッセ)で、産業用車両リスク回避支援システム「synxtera(シンクステラ)」と作業範囲警戒人検知システム「Obvision(オービジョン」を披露した。
synxteraは、建設機械(以下、建機)周辺の作業者を検知するシステムで、ITD Lab製のステレオカメラと萩原エレクトロニクス製のAIなどで構成される。ステレオカメラは、高精度ステレオ演算IPと完全自動キャリブレーション機能を搭載している。
高精度ステレオ演算IPは、ステレオカメラ研究の第一人者である元東京工業大学 准教授の実吉敬二氏が開発した技術を実装した。主な機能は、集積回路「FPGA(Field Programmable Gate Array)」の並列処理※1でリアルタイムに画像を処理する他、補正校正技術によりサブピクセル単位で画像の質を高める。加えて、自己調整機能を備えており、経年変化による筐体の変化にも対応する。
※1 並列処理:複数の命令を全て同時に処理する動き
完全自動キャリブレーション機能は、ステレオカメラで距離計算をしつつ、バックグラウンドで常に自動キャリブレーション処理を行い、温湿度や光軸※2が変わっても、正確に距離計算を続ける。
※2 光軸:レンズなどの中心と焦点を通る直線
萩原エレクトロニクスの担当者は、「これまでのステレオカメラは、筐体の経年変化と衝撃が原因で、取り付けられた2台のカメラにおける光軸がずれて距離計算にエラーが生じ、テストチャートを使用したキャリブレーションが必要だったが、こういった手間を完全自動キャリブレーション機能は解消する」と利点を話す。
AIは、機械学習による人検知技術で、しゃがみ姿勢や半身が隠れている人を夜間でも検出し、対象までの距離を見える化する。今後は、synxteraの広角モデルと望遠モデルをラインアップする予定だ。
建設機械向けのsynxteraは、生産は日本国内。出力はLAN出力で、専用のケーブルは標準で10メートル。保存温度がマイナス40〜プラス85度で、動作温度はマイナス30〜プラス75度。動作電圧はDCプラス9〜36ボルト。耐震は7.1G(ジー、重力加速度)で耐衝撃は30.6G。防じんはIP6Xで、耐水はIPx7。コネクターはMIL規格。筐体はスーパーエンジニアリングプラスチック。
Obvisionは、同時に3チャンネルのカメラ映像を取得できるシステムで、コントローラーPCとカメラから成る。建機に装着すると機体周辺270度の映像をモニターで見渡せ、作業員との接触事故を防ぐのに役立つ。カメラは最大6個の設置に応じている。また、synxteraと同様のAIを組み込めるため、人検知機能を付加することも可能。
同システムのコントローラーPCはサイズが279(幅)×182(奥行き)×68(高さ)ミリで、重さは3.34キロ。使用温度範囲はマイナス30〜プラス70度。保存温度範囲はマイナス40〜80度。入力電圧は9〜36ボルト。消費電力は40ワット。耐震動は6.8Gで、耐衝撃は50G。防じん・防水はIP65。
カメラは、サイズが23(幅)×31.1(奥行き)×25.4ミリで、重さは60±5グラム。画角は水平135.8度、垂直83.9度。使用温度範囲はマイナス30〜プラス85度。保存温度範囲はマイナス40〜プラス85度。制震動は6.8Gで、耐衝撃は30.6G。防じん・防水はIP67。
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