「帯電ミストを用いた粉じん除去工法」をNETISに登録、戸田建設:導入事例
戸田建設は、マシノや有光工業とともに、建設工事の粉じん低減技術である「帯電ミストを用いた粉じん除去工法」を国土交通省が運用している「新技術情報提供システム」に登録した。今後は、技術情報の公開や国土交通省発注工事への技術提案と適用を行い、帯電ミストを用いた粉じん除去工法の利用拡大を目指す。
戸田建設は、マシノや有光工業とともに、建設工事の粉じん低減技術である「帯電ミストを用いた粉じん除去工法」を国土交通省が運用している「新技術情報提供システム(NETIS)」に登録したことを2022年10月20日に発表した。
トンネルなどの建設工事で発生する粉じんは、プラスあるいはマイナスの電荷を帯びている。そこで、戸田建設らは、帯電ミストを用いた粉じん除去工法を開発した。
「帯電ミストを用いた粉じん除去工法」、帯電ミストの噴霧状況 出典:戸田建設プレスリリース
帯電ミストを用いた粉じん除去工法は、粉じんと逆の電荷を付与したミストを噴霧することで、粉じんとミストが静電気力により吸着し、効率的に粉じんを取り除く。
「帯電ミストを用いた粉じん除去工法」の帯電ミストによる粉じん除去の仕組み 出典:戸田建設プレスリリース
具体的には、トンネル坑内に用いることで、粉じん濃度を低下させ、作業員の作業環境と安全衛生水準を高める他、坑口に利用すると、トンネル外部への粉じんの飛散を防止し、周辺環境への影響を減らせる。
「帯電ミストを用いた粉じん除去工法」の概略図(左)と噴霧状況(右) 出典:戸田建設プレスリリース
加えて、トンネル覆工コンクリート養生架台に搭載することで、覆工コンクリートの養生と粉じん除去を同時に行える。これにより、覆工コンクリート表面の湿潤状態を確保可能で、乾燥によるひび割れ発生を抑えられる。
今後は、建設現場の作業環境と安全衛生の水準向上を目指し、建築と土木を問わず粉じんが問題となるような現場に、帯電ミストを用いた粉じん除去工法の普及と展開を進めていく。
- 戸田建設がトンネル工事の災害発生時の救助と避難手順を学べるVRを開発
戸田建設は、仮想現実の中で、トンネル工事における災害発生時の救護手順や火災発生時の避難方法、各種安全設備の関係法令を学習できる安全教育ソフト「バーチャルNATM-TR」を開発した。今後、トンネル工事の現場で勤務するスタッフにバーチャルNATM-TRを活用する他、社外販売も展開していく。
- 戸田建設がトンネル工事のレール移動を自動化、省人化と安全性向上を実現
山岳トンネル工事などで行われるレール移動作業は効率性が問題となっていた。例えば、延長1000メートルのトンネルの場合、レール移動回数は作業台車とセントルを合わせて約200回にもなり、1回の移動で約30分要するとともに5〜6人の作業員が必要だった。こういった状況を踏まえて、戸田建設と岐阜工業はレール移動作業を自動化する急曲線対応型自動レール移動システム「Rail Walker System」を開発した。
- 安全体験VRで重篤災害の多発する“トンネル掘削工”のコンテンツを開発、戸田建設
戸田建設は、VR技術を活用したトンネル工事を対象にした安全教育ツール「バーチャルNATM」を開発した。HMD(ヘッドマウントディスプレイ)に投影した空間内を、専用のコントローラーを使って自由に行動し、安全巡視を体感する。さらに、臨場感のあるVRの中で事故を発生させる不安全行動や不安全状態、トンネル内で想定される災害に巻き込まれた状況も体験でき、危険予知能力や安全意識の向上を図ることができる。
- セントルの操作をタブレット端末で一括管理するシステムを開発、戸田建設
戸田建設は、トンネル工事の覆工コンクリート施工で、セントル型枠のセット作業時に行うセントルの操作をタブレット端末で一括管理する集中制御システムを開発し、福島県会津地方で現在施工を進める「博士トンネル工事(昭和村側工区)」の覆工作業で有効性を確認した。今後は、新システムを同社の各トンネル現場に適用して、検証結果をフィードバックすることでさらにシステムの完成度を高めていく。
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