戸田建設は、トンネル工事の覆工コンクリート施工で、セントル型枠のセット作業時に行うセントルの操作をタブレット端末で一括管理する集中制御システムを開発し、福島県会津地方で現在施工を進める「博士トンネル工事(昭和村側工区)」の覆工作業で有効性を確認した。今後は、新システムを同社の各トンネル現場に適用して、検証結果をフィードバックすることでさらにシステムの完成度を高めていく。
戸田建設は、トンネル工事の覆工コンクリート施工で、セントル型枠※1のセット作業時に行うセントルの操作をタブレット端末で一括管理する集中制御システムを開発したことを2022年3月30日に発表した。
※1 セントル型枠:覆工コンクリート用のアーチ状の型枠。
これまでセントルでの前後走行や上下と横の移動は、各ジャッキやモーターにつながれたペンダントスイッチやレバーによって操作していた。各ジャッキとモーターを同時に操作するためには、各ボタンを同時に押さなければならず、複数の作業員による同時操作が求められ、操作のタイミングは声かけの合図により行われる。
そこで、戸田建設は、タブレット端末により、セントルのさまざまな動作を一括操作でき、作業の省力化と人的な操作ミスを減らせる集中制御システムを開発した。
新システムは、セントルを走行させる際に駆動する走行モーターや上下移動で必須となる昇降ジャッキ、左右移動のための横送りジャッキ操作を、セントル中央にある制御盤を通して、タブレット端末で電子制御と遠隔操作を可能とする。
こういった機能により、タブレット上で、動かしたいジャッキあるいはモーターを自由に選べ、同時に操れる。さらに、操作時の電流値がタブレットに表示されることで、過負荷状態が可視化され、セントルの異常を検知しやすく、セントルの故障防止にも効果を発揮する。
具体的には、従来、ジャッキの同時操作は複数の人数を要していたが、新システムを使用することで、作業員1人で操作を行え、セントルセットの省力化と効率化が図れる。
加えて、セントル操作時の各ジャッキとモーターに負荷される電流値をモニターに表示させることで、セントルのゆがみや不具合による過負荷状態を早期に見つけられ、メンテナンスの高度化を実現する。今後は、操作履歴を蓄積する機能を追加することで、メンテナンスの効率を高めていく。
また、同社が開発したセントルの自動測量システム「セントルEye」との連携を行えるようにし、自動測量しながら、セントルを操れるようにして、将来的には覆工作業の全自動化を目指す。
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