戸田建設がトンネル工事のレール移動を自動化、省人化と安全性向上を実現山岳トンネル工事(1/2 ページ)

山岳トンネル工事などで行われるレール移動作業は効率性が問題となっていた。例えば、延長1000メートルのトンネルの場合、レール移動回数は作業台車とセントルを合わせて約200回にもなり、1回の移動で約30分要するとともに5〜6人の作業員が必要だった。こういった状況を踏まえて、戸田建設と岐阜工業はレール移動作業を自動化する急曲線対応型自動レール移動システム「Rail Walker System」を開発した。

» 2019年12月24日 09時00分 公開
[BUILT]

 戸田建設と岐阜工業は2019年11月、山岳トンネルで行われてきたレール移動作業を自動化する急曲線対応型自動レール移動システム「Rail Walker System」を開発した。

複数人による混合作業が不要に

 レール移動作業とは、アーチ部用の作業台車や覆工コンクリート用スライドセントルを30メートル程度の仮設レール上で走行させ実施するもので、従来、バックホウなどの建設機械と複数の作業員との混合作業で取り組まれてきた。

従来のレール移動方法のイメージ図 出典:戸田建設

 今回開発したシステムは、重機を使用することなく、1人の作業員によるコントローラーの操作だけで、遠隔からレールの前進と回転をコントロールできる。これまで、直線トンネルでしか採用が難しかった技術を改良。特殊アウトリガーを設けることでレールの移動方向のコントロールを実現し、急曲線トンネルにも適用可能になり、実用性が向上した。省力化による生産性アップや効率化だけでなく安全性を高めることにも効果があるという。

Rail Walker Systemのイメージ図(作業台車での採用例) 出典:戸田建設

 また、レールや作業台車などの前進作業をトンネル掘削やインバートコンクリート打設の通行車両により妨げられない。レール送り作業で通行車両を停車させることもないため、トンネル掘削やインバートコンクリート作業の進行を円滑にする。これにより、トンネル全工程の効率化が図れ、従来4〜5人で行っていたレール送り作業を1人のみに省力化し、余剰人員を他の覆工関係作業に割り当てられる。

 さらに、バックホウやクレーン付きトラックと作業員との混合作業を無くせるとともに、通行車両脇で屈んで行わなければならないレール接続も不要になる。これにより、重機接触災害の防止、挟まれ災害の防止、積み荷の落下などによる重篤災害の防止が図れる。

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