このように建設市場が前年レベルで堅調に推移するなか、厳しい人材不足が続く建設業では、労働力不足が懸念される。厚生労働省の「労働経済動向調査」で人材の過不足状況判断DI(Diffusion Index:不足と回答した事業所の割合から過剰と回答した事業所の割合を差し引いた値)をみると、建設技術者と建設技能工の不足感が非常に高いことが分かる(図表10)。
次に、厚生労働省の「一般職業紹介状況」のうち、建築・土木・測量技術者(以下、建設技術者)と建設・採掘の職業(以下、建設技能工)の有効求人倍率の推移では、2022年6月時点で建設技術者は5.94倍、建設技能工は5.42倍と、全職種平均(1.16倍)と比較すると非常に高くなっており、人材の確保が困難な状況にあることが分かる(図表11)。
さらに、総務省統計局の「労働力調査」をもとにした建設業就業者数の2022年上半期の推移では、2月以外は全て前年同月を下回っており、人材不足が続く中でも建設業の就業者数が減少している。
このようなことから、建設業の市場が回復傾向にあるなかで、豊富な手持ち工事を消化していくための労働力不足が今後も、大きな懸念材料となることが見込まれる(図表12)。
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