本連載では、ヒューマンリソシアが運営する「建設HR」が独自に調査した建設業における人材や市場動向について、さまざまな観点で毎月レポートを発表している。今回は、建設業における2021年の人材需給動向を分析している。
本連載では、ヒューマンリソシアが運営する「建設HR」が独自に調査した建設業における人材や市場動向について、さまざまな観点で毎月レポートを発表している。
今回は、厚生労働省の「一般職業紹介状況」から、建築・土木・測量技術者(以下、建設技術者)及び建設・採掘の職業(以下、建設技能工)の2021年人材需給動向についてまとめた。
建設技術者の各年での平均有効求人数※1の推移をみると、東京オリンピック関連の需要がピークアウトして建設需要の過渡期となった2020年は、2019年比で6.5%減の5万4726人に減少したが、2021年には再び増加に転じ、2020年比で8.0%増の5万9092人となり、2019年比でも0.9%増となった(図表1)。
有効求人倍率についても、同様に2020年は2019年より0.75ポイント低下して、5.94倍となった。しかし、2021年は緊急事態宣言が2回発出されるなどコロナ禍が深刻化した状況となったにもかかわらず、有効求人倍率は6.10倍に上昇するなど、厳しい人手不足に陥った。
※1 平均有効求人数は、各年の1月から12月の有効求人数の平均値を算出
次に、建設技能工の平均有効求人数の推移をみると、2020年は2019年比で2.5%減少して10万7497人となり、有効求人倍率も同様に、2020年は2019年より0.21ポイント低下して5.40倍となった(図表2)。建設技能工は、平均有効求人数と有効求人倍率ともに2019年比で減少または低下しているが、低下幅は比較的小さく、東京オリンピック関連の需要がピークアウトした後でも、人材需要の変動が少ないことが分かった。2021年についても有効求人数が2020年比で9.6%増加して11万7799人となり、人材需要が高まっていることがうかがえる。
建設技術者および建設技能工の厳しい人材不足が続く背景には、コロナ禍の中でも公共事業を主体に建設市場が好調に推移していることがあると考えられる※2。
※2 国土交通省の「2021年建設投資見通し」では、2021年度の建設投資の総額は前年度見込み額を2.9%上回る62兆6500億円になる見通しとされている。
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