本連載では、ヒューマンリソシアが運営する「建設HR」が独自に調査した建設業における人材や市場動向について、さまざまな観点で毎月レポートを発表している。今回は、国土交通省の「建設総合統計」をもとに、2022年上半期の建設市場の動向を見ていく。
2022年上半期の建設工事は、民間建設投資は増加したが公共工事は減少し、出来高総計は前年上半期を1.4%下回る微減となった。一方で、2022年6月時点の手持ち工事高は前年比3.7%増、受注高も民間からの受注が増え、前年上半期を5.6%上回るなど、今後は堅調に推移することが予測される。しかしながら、深刻な人材不足状況が続いていることから、労働力不足による供給制約が懸念される。
2022年上半期(1〜6月)の建設業の市場規模は、国土交通省「建設総合統計」発表の建設工事出来高総額※で、25兆470億円となった。2021年上半期は25兆3955億円であり、前年を1.4%下回ったことになる。
発注者・建設種類別に内訳をみると、民間建築・居住用は前年上半期比2.1%増、民間非住宅+土木は同6.9%増と前年上半期を上回ったが、公共(建築+土木)の出来高が同9.0%減と前年上半期割れとなった。
2022年上半期は、コロナ禍がある程度落ち着き、景気も回復傾向であることを背景に民間の建設投資が増加したが、公共工事の減少に伴い、建設市場全体は微減となった。
※ 建設工事出来高総額:契約済みの建設工事における請負金額のうち、施工が完了した部分に相当する金額分の累計出来高
2022年上半期の建設工事の出来高総計を月別にみると、1月から4月までは前年同月を下回っているが、5月は前年同月比0.7%増、6月は同1.2%増と増加に転じており、建設市場はやや上向きで推移している(図表2)。
発注者・建設種類別では、民間建築・居住用の出来高の前年同月比は低下傾向であるが、民間非住宅+土木は上昇傾向となっている。このことから、住宅市場の伸びが鈍る一方、民間設備投資の回復を背景に工場・倉庫・店舗・オフィスなどへの建設投資が増加していると推測される(図表3、4)。また、公共工事も前年同月割れではあるが、徐々に回復しつつある(図表5)。
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