将来的な出来高となる手持ち工事高(契約済みの建設工事における請負金額のうち、未着手の工事に相当する金額分)では、2022年6月の手持ち工事高総計が前年同月を3.7%上回り、工事量は増えている(図表6)。
発注者・建設種類別でも、民間建築・居住用が前年6月比3.6%増、民間非住宅建築+土木が同5.3%、公共工事が同2.6%増と、いずれも前年の同月を上回る水準となっていることから、下半期に向けて建設市場は堅調に推移すると予想される。
2022年1〜6月の元請け受注高累計では、受注高総計が前年上半期比5.6%増となった(図表7)。受注先別にみると、民間などからの受注高が同12.7%と二桁の伸びとなったが、公共機関などからの受注高は同9.1%減と落ち込んでいる。このことから、建設市場の見通しとしては、民間の建設投資が市場を牽引(けんいん)する構造で堅調に推移するのではないかと推測される。
2022年上半期の建設工事の出来高累計をエリア別にみると、「東北エリア」が前年上半期比18.1%減、「北海道エリア」が同16.1%減と大幅に落ち込んだ。しかし、「中部エリア」が同7.1%増、「中国エリア」が同5.8%増、「九州・沖縄エリア」が同3.9%増、「近畿エリア」が同2.9%増と、西高東低の状況となっている(図表8)。最も市場規模が大きい「関東エリア」は同1.3%減とわずかながら減少となった。
エリア別に2022年6月の手持ち工事高を見ると、前年同月と比較し最も増加しているのは「中国エリア」で前年同月比15.2%増となった。次いで「中部エリア」が同11.1%増、「九州・沖縄エリア」が同9.2%増となり、上記3つのエリアでは下半期についても好調な業況が続きそうである。
前年同月を下回ったのは「北陸エリア」の7.0%減、「四国エリア」の2.6%減、「東北エリア」の1.0%減の3エリアであった。また上半期の出来高が大幅に減少した北海道は、手持ち工事高が前年6月比で8.7%増であり、業況の回復が期待できそうだ。
※建設総合統計の2013年4月から2022年5月までの月別、年・年度別及び年度報の結果については、「建設工事受注動態統計調査の不適切処理に係る遡及改定に関する検討会議」において決定された方法に基づき、推計値が算出されています
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.