藤谷氏は、「当社は、2020年11月にOKIアイディエスと技術提携契約を締結し、ZebraとPCASを組み合わせ、今回発表の新技術を開発した。新技術は、PCASにより、搭載するアプリケーションのAI推論とパフォーマンスを高いレベルで保ちつつ、搭載機器の面積と消費電力を最小に抑えられるため、画像処理と制御系のシステムや組み込み製品(カメラやプリンタなど)にZebraを搭載できるようになる」とコメントした。
上記の利点により、スマートシティー、車載、リテール、ロボティクス、FA、医療といった各分野の機器などのアプリケーションににZebraを使えるようになった。
具体的には、新技術は精度を落とさずにほぼ自動でアプリケーションが持つニューラルネットワークのサイズを小さくするだけでなく、ZebraはPCASが軽量化したAIのモデルを問題なくアプリケーション内で実行する。その結果として、新技術を活用し、利用者は、アプリケーションのニューラルネットワークを小型化して、FPGAに搭載する時間を減らせる。
OKIの須崎氏は、「PCASは、OKI独自のAIモデル軽量化技術で、AIモデルを構成するニューロンの中で重要でないものを自動で特定と削減を行い、AIの精度を高く維持しつつ、パラメータ数と演算回数を軽減するため、FPGAを介して高度なディープラーニングモデル(AI)をエッジに備えられるようになる。PCASとZebraを組み合わせた新技術は、PCASでAIモデルを構成するニューロンの中で重要でないものを自動で特定し減らして、ZebraはFPGA論理回路を自動で最適化する」と述べた。
新技術の効果については、高度なAI処理を用いた評価実験で、Zebra単体で軽量化したAIモデルと比較して、新技術で軽量化したAIモデルの画像処理速度は約4倍速いことが分かっている。加えて、高度なAIモデルを任意のレベルで軽量化でき、利用者の要求性能に応じたFPGAを選べるようになる。
OKIアイディエスの滝澤氏は、「当社は、新技術で軽量化したAIモデルを適用するFPGA/SoC※7の設計と開発を担当している。なお、顧客のAIプログラムをZebraで、FPGA/SoCへ実装・最適化する」と話す。その後、行われた新技術のデモンストレーションでは、新技術で最適化したAIモデルを備えたFPGAで、USBカメラで取得した画像の処理作業(撮影対象の可視化など)を実施するデモンストレーションを披露した。
ちなみに、撮影対象の可視化では、人物、コップ、ボトル、傘などを文字と四角いマークで見える化を行った。今後は、新技術とOKIアイディエスのFPGA設計・開発サービスを連携することで、顧客の目的に応じて、FPGAの設計と開発が行えるサービスの提供を目指す。
※7 SoC:統合されたシステムを組み込んた集積回路。
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