作業員の教育と指導に役立つスマートグラスとAR作成サービスの活用事例、NSW第6回 ジャパンビルド OSAKA−建築の先端技術展−(2/2 ページ)

» 2022年10月14日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]
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最新のiPhoneが備えているLiDARセンサーで取得した点群もAR化可能

 ConstARは、3D CADやBIM、PDFを専用サーバにアップロードすることでARコンテンツに変換するAR作成プラットフォームと生成したARを見られる「ARビュワーアプリ」を提供する月額制のサービス。ARビュワーアプリは、iPhoneやiPadなどにインストールすることで、場所と時間を選ばず、生成したARを見られる。

「ConstAR」の構成

 活用事例としては、「スリーブ配置のチェック」「杭頭への鉄筋組付け作業時の干渉をARで確認」「施工で生じた隠蔽(いんぺい)部をLiDAR機能を活用してARで見える化」を紹介した。

 NSWの担当者は「スリーブ配置のチェックでは、まず、ConstARの専用サーバに、現場のスリーブ位置を記載した2D図面とBIMをアップロードしてARに変換する。次に、iPhoneあるいはiPadにインストールした専用アプリを通して、作成したARを現場に重ねることで、コンクリートを打設する前に、設計通りにズレなくスリーブが設置されているどうかを確かめられる。これにより、手戻りを減らせ、工事期間の遅れを防げる」と話す。

スリーブ配置のチェックを実現するARの重畳

 杭頭への鉄筋組付け作業時の干渉をARで確認では、専用アプリを使用して、ConstARの専用サーバでAR化した杭頭と通り芯の位置を現場に重畳し、杭頭への鉄筋組付け作業時の干渉を調べられ、杭頭の状態を踏まえた鉄筋の位置調整を効率化する。

杭頭への鉄筋組付け作業時の干渉をARで確認

 加えて、通常は、地中に埋め込む杭頭の深さや向きなどによって、組み上げる鉄筋の位置調整を実施しているが、作業者の経験と能力に依存し、実施する作業者によっては手戻りが発生するケースもあったという。

 施工で生じた隠蔽(いんぺい)部をLiDAR機能を活用してARで見える化では、最新のiPhoneとiPad Proが備えているLiDARセンサーにより、施工の工程で内部が見えなくなる場所をスキャンした画像と点群データをConstARの専用サーバで、内部が分かる時と不明な際の状態をAR化し、専用アプリを利用して、現場にARを重ね、竣工後でも内部の状況を把握できるようにする。

 「一例を挙げると、上記のように道路内部のデータをAR化し、専用アプリで作成したARを道路に重畳して、内部にある配管の位置を見える化することで、道路工事を行う場合に、建設機械で水道管などの配管を破損することを防げる」(NSWの担当者)。

道路内部の配管をARで可視化

 RealWear Navigator 500の価格は35万円(税別)で、ConstARのサービス利用料は月額29万8000円〜。

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