TeamViewer ジャパンは、建設業で作業者の人手不足と高齢化が進行していることや担当するスタッフにより施工品質にバラツキが生じている問題点を踏まえて、熟練技能者が遠隔で作業を指示し、ワークフローをAR技術で従業員に伝えるソリューション「TeamViewer フロントライン」を開発した。
TeamViewer ジャパンは2020年11月25日、建設業や製造業などの現場向けに、AR技術で、業務のリモート支援とワークフローの管理を実現するソリューション「TeamViewer フロントライン」を発売した。
TeamViewer フロントラインは、ITとOT(Operational Technology)の端末をつなぎ、センサー機器のネットワークも構築するソリューション「TeamViewer」に、同社が2020年8月に買収した独UbimaxのAR技術を統合したもので、iOSまたはAndroidに対応したタブレットやスマートフォン、スマートグラスで使える。
TeamViewer フロントラインの発売日に、都内で開催された記者発表会で、同ソリューションの販売を担うアウトソーシングテクノロジー ソリューションサービス事業本部 マネージングディレクター 須永知幸氏は、「TeamViewer フロントラインは、スマートグラスで使用することで、音声による操作を活用し、写真撮影や情報の記録、画面共有、遠隔指示、ドキュメントの閲覧をハンズフリーで行え、手作業をスムーズに進められる」とスマートグラスを用いた操作の利点について説明した。
ソリューションは、保守と検査を最適化する「xInspect」や遠隔で作業者の業務をサポートできる「xAssist」、ピックアップ作業を効率化する「xPick」、製造工程の生産性を高める「xMake」の4つのシステムで構成されている。このうち、xInspectは、メンテナンスや検査工程の手順、設備の状態をARで確かめて、業務の支援とトレーニングに役立つ。
xAssistは、熟練技能者がオーディオや動画、ARで、遠隔から現場のスタッフに指示が出せる。xPickは、倉庫内にある商品の位置などを見える化し、ピッキングや搬入、出荷、棚卸しの業務を支援し、xMakeはARで製品の組み立てや品質検査におけるワークフローのチェックと学習が行える。
記者発表会で、TeamViewer ジャパン ビジネス開発部 部長 小宮崇博氏は、「TeamViewer フロントラインは、“Creator”という機能を使用することで、ワークフローを作れる。例えば、Creatorを使用することで、工場では、生産や人員の計画と実績値の違いが分かり、データサイエンティストが社内にいれば、ラインの稼働率や遅れが発生した原因も判明する」と機能の一部を紹介した。
また、自動翻訳機能を搭載したチャット機能では、多言語でのコミュニケーションもとれる。セキュリティに関しては、2要素認証の他、ユーザーの会社が保有するディクレクトリを介したシングルサインオンを含むIDやアクセス管理の導入に応じており、APIを用いて社内システムとも接続する。
記者発表会で、セールス戦略について、TeamViewer ジャパン パートナー営業本部 本部長 菰田詠一氏は、「TeamViewer フロントラインは、グローバルの市場で、既に400社以上が採用している。国内でのターゲットは、建設や製造、流通、医療の大手と中堅企業で、販売は当社と契約を結んだフロントラインパートナーが担当する。フロントラインパートナーは、コンサルティングや導入支援、ユーザーサポート、トレーニングも務める会社で、卸売会社やコンサルタント会社、システムインテグレーターを想定している。2021年中に、フロントラインパートナーとして10社と契約し、TeamViewer フロントラインを100社に導入することを目指す」と方針を示した。
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