地上を俯瞰して見た映像は、建設分野でも利用可能だ。遠隔で操作する重機の周辺をモニタリングするのに活用できる。
昨今は、建設現場でも生産性向上の追求や省人化などの目的で、離れた場所にある建機を遠隔で操作する研究開発が増えている。建機には、現場の状況を映すカメラが搭載されているが、通常は建機作業の対象を中心に撮影している。また、建機の周囲に人が近づくとアラートを発する安全装置も建機メーカーから提供されているが、現実には離れた場所にいるオペレーターにリアルタイムで即座に伝達するのは難しい。
その点、工事現場の上空にドローンが常時監視していれば、こうした問題は改善される。オペレーターは、建機に取り付けられたカメラやセンサーに加え、現場の広い範囲を俯瞰できるドローン映像を見ながらリモート操作が実現し、ストレスなく安全を確保した作業環境が整う。
長時間の飛行は、災害現場でも活用が見込め、特に大雨による土砂崩れでは、災害発生後にも被害が拡大することが多々あるため、上空からの経過観察などに有用だ。
有線ドローンは、電力の供給や映像データの受信だけに限らず、ドローン操作もケーブルを介して行える。
土砂崩れなどの災害現場では、多数のドローンが上空を飛ぶ。そのため、互いの電波が干渉してドローンの操縦不能に陥ることも起こるという。しかし、有線ドローンであれば、現場の電波状況に左右されず安定的な飛行を維持しつつ、鮮明な映像をリアルタイムに長時間送信できる。
ほかの出品物では、高精度の測量やスピーディーな点検や調査などに貢献するソリューションを紹介した。
最大50キロの飛行距離を実現した固定翼タイプのVTOL(Vertical Take-Off and Landing:垂直離着陸機)機「AEROBO wing」は、山奥など人が容易に行けない場所の調査用。災害が起きた後、山奥にある砂防ダムの調査をはじめ、計測や点検などにも使える。AEROBO wingは、標準でLTE通信モジュールを装備。山奥ではLTEの基地局は山頂付近に設置されることが多く、上空での電波環境は逆に良いことが多く、LTE機能が有効活用できるとのことだ。LTEが使えない現場でも、2.4GHz長距離通信で、最大1.5キロの距離で映像信号を確認しながら安全に飛行する。
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