“ドローン新時代の空の安全を確保”するGMOホワイトハッカーによるセキュリティ診断、通信暗号化と機体認証もJapan Drone2022(1/2 ページ)

ドローンが社会実装となれば、いかにして空域の安全性を確保するかが新たな課題となってくる。数々のインターネット事業を手掛けるGMOインターネットグループは、ホワイトハッカー集団によるIoTセキュリティ診断と、通信暗号化、認証技術で空の「セキュリティ」を担保するという。

» 2022年08月22日 06時11分 公開
[加藤泰朗BUILT]

 ドローンの機体登録やリモートIDの制度がスタートし、2022年度内の「有人地帯での目視外飛行(レベル4飛行)」解禁も見込まれていることから、ドローンの社会実装までの足音がすぐそこまで聞こえるようになってきた――。2022年6月に千葉県・幕張メッセで開催された日本最大のドローンの国際展示会&カンファレンス「Japan Drone2022|第7回−Expo for Commercial UAS Market−」(会期:2022年6月21〜23日、千葉・幕張メッセ)では、そのことを示す象徴的な“出来事”があった。GMOインターネットグループが、冠スポンサー(Platinum Sponsor)としてブース出展したことだ。

ブースでは、GMOホワイトハッカーのサイバー攻撃デモも

洗練されたデザインで統一されたGMOインターネットグループのブース

 GMOインターネットグループは、インターネットインフラ事業やインターネット広告/メディア事業、インターネット金融事業、暗号資産(仮想通貨)事業を幅広く展開する言わずと知れた総合インターネット企業グループ。

 今展のテーマは、「すべての空にセキュリティを」。空を産業の“最後のフロンティア"と捉え、2021年5月より経済産業省と国土交通省が合同開催する「空の移動革命に向けた官民協議会」に参画するなど、ドローンの他産業での実用化に向けて取り組んできた。その過程で課題として浮かび上がってきたのが、「ドローンや空飛ぶクルマ(eVTOL)のセキュリティに対する意識が希薄」という現実だ。

 ブース担当者は、「ドローンの世界は、数年前までは“機体が飛ぶ”こと自体が注目されてきた。社会実装を迎えるこれからの段階では、セキュリティなどを含めて、“ドローンをどう使うか”が重要になる」と分析し、出展の狙いを「セキュリティ対策の重要性を啓発すること」と説明した。

 2022年度内には、「有人地帯での補助者なし目視外飛行(レベル4)」の解禁が見込まれており、実現すれば都市部で人の頭上をドローンが行き来するのが当たり前になる。万一、墜落したドローンと人が衝突すれば、最悪、命にも関わる事態にもなりかねない。実証実験のような「限定された空間」で飛行する場合と比べて、セキュリティ対策の重要性が格段に増すということだ。

 会場では、GMOサイバーセキュリティ byイエラエ(GMO Cybersecurity by Ierae)に所属するホワイトハッカーによる「ドローン実機を用いたサイバー攻撃手法」のデモンストレーションも行われた。簡単なコード入力で、いともたやすくドローンを墜落できる実演を目にし、観客からは驚きの声が上がっていた。

サイバー攻撃のデモンストレーション。左側にハッカー役の担当者がコードを入力すると、写真左側の囲いの中で飛行していたドローンが動きを止めて墜落した

 では、サイバー攻撃を防ぐ、GMOインターネットグループのサイバーセキュリティとは、具体的にはどのようなものなのか。今回のブースで主に紹介されたサービスは2つ。GMOサイバーセキュリティ byイエラエのホワイトハッカーがセキュリティ度合いを評価する「IoTセキュリティ診断」と、GMOグローバルサイン(GlobalSign by GMO)の「暗号セキュリティ/認証技術」を用いた通信の暗号化と機体認証。

GMOインターネットグループのセキュリティ事業。GMOサイバーセキュリティ byイエラエの「Iotセキュリティ診断」、GMOグローバルサインの「暗号セキュリティ/認証技術」、そして今展では詳しく説明されていなかったGMOブラドセキュリティの「セキュリティ事業」の3つで構成

 3つのサービスのうち、IoTセキュリティ診断は、ハードウェア解析やインタフェーステスト、ソフトウェア解析でデバイスのセキュリティを評価する「IoTペネトレーションテスト」、クラウドのコンソール経由での設定レビューやアプリケーションの動作解析を組み合わせた「クラウド診断」、スマートフォンのセキリティ上の課題を洗い出す「スマホアプリ診断」の3つアプローチで、ドローンのサービス開発からのセキュリティを評価する。

サイバー攻撃を実演しつつ、セキュリティの重要性を訴えるGMOサイバーセキュリティ byイエラエ 高度解析部 高度解析課 課長 三村聡志氏(右)

 暗号セキュリティ/認証技術は、ドローンとサーバ間で発生する通信を暗号化し、送信データの盗聴や改ざんを防ぐ「SSLサーバ証明書」、ドローン本体から制御システムへアクセスする際に発行して不正アクセスを防ぐ「クライアント証明書」でセキュリティを担保する。通信と機体を電子認証することで、データの流出やなりすましによる機体乗っ取りを防止できるようになる。

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