五洋建設は、港湾工事などで生じる基礎捨石マウンドの均(なら)し作業を効率的かつ高精度で行える新型捨石均し機「SEADOM-7」を建造した。SEADOM-7は、8脚歩行式の水中作業ロボットで、波浪の影響を受けにくく、海象条件の悪い海域でも高い稼働率が期待できる。
五洋建設は、港湾工事などで生じる基礎捨石マウンドの均(なら)し作業を効率的かつ高精度で行える新型捨石均し機「SEADOM-7」を建造したことを2022年9月12日に発表した。
同社は、潜水士による捨石均し作業の省人化と施工能力の向上を実現するため、水中歩行式捨石均し機の第1号機を1986年に建造して以降、これまでに5機建造し、実績を積み重ねてきた。
上記の知見を生かし五洋建設が開発したSEADOM-7は、レーキ装置と重錘による締固め装置を備え、ICTを活用した自動化施工に対応する8脚歩行式の水中作業ロボットで、起重機船で重錘(じゅうすい)を落下させる捨石均し工法を採用しており、重錘落下機能を持つ水中作業ロボットは今回の機体が世界初だという。
SEADOM-7の作業手順は、所定の場所に移動し、捨石均し手順に応じた方向に設置する。次に、レーキ台車に搭載した5基の超音波センサーで捨石マウンドの凹凸を測る。続いて、レーキを前後に走行させ、捨石マウンドを任意の高さに敷均しする。その後、AIシステムが算出した最適な高さから重錘を落下させ、堅固に締固める。
具体的には、重力式構造物が沈下や傾斜しないように、堅固な基礎捨石マウンドを造成する目的で、レーキ装置で高精度に敷均し、これまで使用されていたローラ転圧方式の代わりに重錘装置(水中重量18.1トン、底面積が4平方メートル、最高落下高さが2メートル)で締固める仕様となっている。
また、搭載された水中ソナーによって基礎捨石マウンドの形状と高さをリアルタイムに確認しながら、AIシステムによって最適な重錘落下の高さと回数を導き出すことで、施工精度の向上と作業の効率化を図る。
SEADOM-7の自動化施工技術に関しては、高精度なセンサーと自動制御システムを導入している。さらに、BIM/CIMクラウドから捨石投入後の測量結果と基礎マウンドの設計3次元データを読み込み、それらをベースに平面的な凹凸の差分量を算出し、作業手順を計画し実行する。
加えて、均し作業の完了後、超音波センサーで計測した基礎捨石マウンドの3次元出来形データをBIM/CIMクラウドへ出力することで、リアルタイムの進捗管理などで、データの活用が行え、工事全体の生産性を高められる。
特徴は、1個当たり500キロ以下の石材で構成された基礎マウンドを高精度かつ堅固に締固めするだけでなく、シーケンス制御に従って油圧と電気機器を制御することで自動操作を達成している点。なお、起重機船による重錘落下方式は、底面積が約10平方メートルで最大水中重量が50トンの重錘を活用するが、単位面積当たりの重量はSEADOM-7の重錘とほぼ同等となる。
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