東亜建設工業、JFEスチール、日本製鉄、五洋建設、日本海工の5社は、軟弱な海底地盤の表層改良を実現する「カルシア改質土のバッチ式原位置混合工法」の共同開発を進めている。また、2022年7〜8月に国土交通省中国地方整備局と広島県の協力を得て、広島港出島地区の実海域で「カルシア改質土のバッチ式原位置混合工法」の実証試験を実施している。
東亜建設工業、JFEスチール、日本製鉄、五洋建設、日本海工の5社は、軟弱な海底地盤の表層改良を実現する「カルシア改質土のバッチ式原位置混合工法」の共同開発を進めていることを2022年8月18日に発表した。
カルシア改質土は、軟弱な浚渫土※1(しゅんせつど)に製鋼スラグを原料としたカルシア改質材※2を混合することにより物理的・化学的性状を改質した材料で、強度の発現や固化といった特徴があることから、浚渫土の有効活用技術として埋立材や浅場・干潟の造成材材料などに適用されている。
※1 浚渫土:港湾工事などで海底の掘削時に発生する水分や粘土分が多い泥土。
※2 カルシア改質材:鉄鋼製造の副産物として生成される転炉系製鋼スラグを成分管理・粒度調整した材料。
カルシア改質土を利用する工法は、バージ船※3や土槽内であらかじめ混合したカルシア改質土を所定の施工エリアへ運搬して、海中投入する事前混合処理が主流となっている。
※3 バージ船:河川・運河や港湾内で重い貨物を積んで航行するために作られている平底の船舶。
一方、今回開発したカルシア改質土のバッチ式原位置混合工法は、既存の海上地盤改良工法「サンドコンパクションパイル工法」の専用船に取り付けた密閉式バケットを用いて、バケット内で粘土と改質材を混合し、その場(原位置)で海底地盤の表層約3メートルをカルシア改質土に改良する。
具体的には、原位置(海底)で一連の工程を実施するため、泥土やカルシア改質土の運搬を必要としない他、密閉式バケット内でカルシア改質材と混合するため、粘土撹拌による濁りが生じない。
さらに、海底近傍でカルシア改質土を排出するため、海中投入に比べて改質土の落下高さが小さくなり、濁り発生を抑えられ、バケットで地盤を掘削した時に余分な水分が含まれず、強度・品質の向上が期待できる。加えて、密閉式バケット内でカルシア改質材の混合率をリアルタイムに管理することで、混合量の過不足に迅速に対応する。
これにより、軟弱な海底地盤の浅層改良、浅場・干潟の土留め潜堤、航路内への土砂流入防止堤、岸壁・防波堤周辺の洗掘防止など、カルシア改質土の用途を広げられる可能性がある。
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