マッハシステムで利用できる機器が登場したことも大きなポイントだ。例えば、送風に使うファンがそうだ。モデルハウスでは、送風用にファンが24機使われている。これらは換気扇用をカスタマイズしたものだ。
マッハシステムは、温度差が少ない空気を大量に送ることで機能するが、かつての換気扇用DCモーターは消費電力が15〜20W程度あった。そのため、20台以上のファンを24時間連続で稼働すると電気代がかさむという問題があった。しかし、現在のファンには1台あたり3〜5Wの電力しか消費しないものが登場している。また、ベアリングなどの改良によって、マッハシステムの送風に使えるようになっているという。
家全体を快適な温度・湿度に保ちながら、空調に関するコストが少なく済むのもマッハシステムの大きな特徴だ。マッハシステムでは、1台の家庭用エアコンで1棟丸ごと空調を管理する。また、一定の負荷でエアコンを連続稼働するので、電気代が少なくて済む。よく知られるように、エアコンは入/切を頻繁に行うと多くの電気を消費する。一定負荷で連続運転するのが、最も効率の良い稼働方法となる。
将来的な改修に関してもマッハシステムは有利。一般的な全館空調の場合は、供用開始後15年前後で訪れる大規模なメンテナンスの際には、最低でも300万円ほどの費用を要する。条件次第では500万円に達することもあるが、高額費用のため、全館空調を諦めて個室空調に縮小するケースが珍しくない。
マッハシステムも、15年前後でメンテナンスの必要がある。しかし、その際の費用は100万円程度で済む。これは、基本的にエアコン1台で運用している点と、高額な機器がないためだ。加えて、ダクトなどにホコリやカビが付着せずに劣化しないので、交換も必要としない。
大規模改修は定期的に必要となるが、仮に15年に1回メンテナンスを行って60年住むとすれば、従来型の全館空調と比べると、大幅にコストを抑えられる。毎月の電気代でみても、地域によって差はあるものの、40〜50坪程度の住宅なら、空調で掛かる年間の電気代は3〜5万円で収まる。
FHアライアンスの廣石氏は、マッハシステムの特徴を「地球にやさしい」「家にやさしい」「人にやさしい」とPRする。最後の「人にやさしい」の中には、コストがかからず「財布にやさしい」という思いも込められている。
ちなみに、マッハシステムは既存の住宅へ導入することも可能だ。また、今回紹介したナゴヤハウジングセンター一宮会場の物件では、マッハシステムの快適性を実感するための「宿泊体験」もできる。
廣石氏は、今後はマッハシステムを海外にも展開する計画を口にした。省エネルギーや住まいの安全、居住者の健康に関心が高まっている昨今、新しい住宅空調のあり方として注目すべきシステムと成り得るかもしれない。
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