まず、ものづくりをデジタルで行うは、「Shimz One BIM」として、ベースとなる設計図をBIMデータ化し、企画・設計から、施工、竣工後の運用段階までのライフサイクルで連携させる。なかでも施工段階では、「Shimz Smart Site(シミズスマートサイト)」と呼ぶ、3つの取り組みに注力。デジタルで管理する“Management”、自律型ロボットと人が協働する“Robot Work”、BIMを核にデータ連携でものづくりを行う“Digital Fabrication”だ。
Managementは現場の多様な情報をデジタル化して、即時に状況を把握し対策しようという試みで、監視基地の「Smart Control Center」と現場に置く分電盤機能を持つデジタルデバイス「Smart Station」、本支店で登録したコンテンツを各地に配信する「デジタルサイネージシステム」などで構成する。
次にRobot Workでは、資材を自動搬送する「Robo-Career」や溶接部位形状を確認して溶接する「Robo-Welder」、天井/床工事用の「Robo-Buddy」、木造床板のビス打ち「Robo Slab-Fastener」といった各種ロボットを順次投入していく。
一方、BIMデータによるものづくりを目標とするDigital Fabricationでは、BIMモデルをベースに、コンクリートの型を作る3Dプリンティングの活用が始まっている。これにより、型枠工事の省人化はもちろん、従来は困難だった自由曲面形状の構成も可能となった。また、構造設計のBIMデータとグループ会社開発の鉄骨専用CAD(KAPシステム)を連携させる「KAP for Revit(K4R)」では、鉄骨数量を正確に把握しながら構造設計することが実現する。
デジタルゼネコンの2つ目の軸「デジタルな空間・サービスの提供」では、自社開発の建物OS「DX-Core」が核となる。建物に関わる多種多様なデータを建物OSへ集約し、入居者や管理者に新たなデジタルサービスを提供していく。さらに、DX-Coreのクラウドを通じ、建物情報を横連携することで、都市のデジタルツインに活用し、スマートシティー実現につなげていく。
3番目の「ものづくりを支えるデジタル」では、デジタル化を支えるプラットフォームを構築。通信・デバイスなどデジタル環境のベースとなるインフラ基盤、多様なデータの蓄積・活用を進めるデータマネジメント基盤、そして日常業務を補うアプリケーション群の業務システム基盤があり、いずれもさらなる充実を図っていく計画だ。
今井氏は講演の最後に、これからの「Shims デジタルゼネコン」の施策のなかで、建設サイト・シリーズに期待することを語った。建設業界に課せられた多くの問題解決には、デジタルの力を利用しつつ、ゼネコンと協力業者の連携が欠かせない。そのためには、各社の与信、IDの付与や管理、作業所での個人情報の管理などのデリケートでありながら、負荷の高い作業が必要となる。
そこで、「建設サイト・シリーズには協力会社とゼネコンを結ぶ“ハブ”の役割を担って欲しい」と今井氏は要望。建設サイト・シリーズにアクセスすれば、全てのゼネコンとつながる“デジタル連携の入口”となってもらい、デジタルゼネコンたる清水建設と全ての協力業者とが、デジタル化の恩恵を共有しつつ、Win-Winの関係を築ければ」と展望を明かし、今井氏は講演を終えた。
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