工事進捗や資機材の保管状況を図面表示するシステムを開発、大成建設ICT

大成建設は、360度カメラで撮影した動画を基に、工事の進捗状況や工事用資機材の保管場所をAIで自動認識させ、図面に描画するシステムを開発した。新システムは、図面表示機能を備えており、施工状況と使用資機材の所在を簡単・明確に把握できるようになり、建設工事における施工管理業務の省力化・効率化を実現する。

» 2022年06月09日 09時00分 公開
[BUILT]

 大成建設は、360度カメラで撮影した動画を基に、工事の進捗状況や工事用資機材の保管場所をAIで自動認識させ、図面に描画するシステムを開発したことを2022年5月17日に発表した。

撮影された動画は撮られた場所とひもづけてシステムに記録

 これまで建設工事の施工管理業務では、日々現場内を巡回し、工事の進捗状況を図面に記載し行っており、とくに、高層ビルなどの大規模現場では内装工事の進捗に関わる図面作成に時間と労力がかかっていた。

 一方、建設現場では、仮設資材や高所作業車など、数千点の多種多様な資機材を使用しており、現場内に点在する資機材を迅速かつ正確に管理することが施工管理業務の省力化・効率化につながる。

 そこで、大成建設は、現場巡回時に360度カメラで撮影した動画をAIで分析することで、内装工事における壁・天井などの施工状況と工事に使用する各種資機材の保管場所を自動認識し、図面上に表示するシステムを開発した。

新システムの概要 出典:大成建設プレスリリース

 新システムは、現場内にあらかじめ図面位置情報を登録した2次元コードを1フロア当たり数カ所に設置し、スマートフォン専用アプリで位置情報を読み取った後、現場内を360度カメラで動画撮影しながら巡回する。

 その後、撮影された動画から壁・天井工事などの内装工事と資機材をAIで自動認識し、専用アプリによる位置測位の結果を組み合わせることで、各工事の施工状況と資機材位置を同時に図面上に反映することが可能な他、各種資機材の名称を検索することで、その保管場所が図面上に表示され、所在を簡単に調べられる。

動画撮影位置の図面表示と画像による施工状況リモート確認 出典:大成建設プレスリリース

 さらに、撮影された動画は、撮られた場所とひもづけてシステムに記録されるため、図面位置を指定することで、その場所における施工状況をリモートで360度にわたり確かめられ、工事関係者とのスムーズな合意形成や情報共有、現場確認作業の負担軽減を実現する。

 現在、新システムに関しては、大成建設が開発した建築現場のDX標準基盤「T-BasisX」と四足歩行ロボットによる建設現場の遠隔巡視システム「T-iRemote Inspection」との連携を進めている。今後は、四足歩行ロボットが現場担当者の代わりに現場内を巡回する際に新システムを活用することで、工事進捗など施工管理の省力化・効率化を図り、建設工事のDX化を推進していく。

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