カーボンリサイクル・コンクリ向け炭酸カルシウム製造方法を共同開発、大成建設ら新建材

大成建設とアイシンは、アミノ酸を活用して排気ガスなどに含まれるCO2を炭酸カルシウムとして固定化する技術(アイシン製)を、大成建設が開発したカーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete/Cabon-Recycle」に活用するために必要な炭酸カルシウムの製造方法について共同開発を進めている。

» 2022年04月19日 09時00分 公開
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 大成建設とアイシンは、アミノ酸を活用して排気ガスなどに含まれるCO2を炭酸カルシウムとして固定化する技術(アイシン製)を、大成建設が開発したカーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete/Cabon-Recycle」に活用するため、共同開発契約を締結したことを2022年4月1日に発表した。

2030年頃までに実用化を目指す

 CO2を炭酸カルシウムとして固定化する技術は、鉄鋼スラグや廃コンクリートといった産業副産物に含まれるカルシウム源を抽出したアミノ酸水溶液に、排ガスなどに含まれるCO2を吹き込むことで炭酸カルシウムとして固定化する。

 具体的には、食品向けに一般流通しているアミノ酸水溶液を用いたプロセスを適用し、効率的なCO2固定化が可能で、アイシン調べによればCO2の固定量が他社のテクノロジーと比較して10倍。さらに、アミノ酸水溶液の温度調節やCO2濃縮などの複雑な化学処理が不要で、容易に炭酸カルシウム生成する他、アミノ酸水溶液は繰り返し使えるため、溶液の循環利用に対応し経済性に優れる。

 T-eConcreteは、セメントの使用量を抑制し、通常コンクリートと同等の強度と施工性を保持しつつ、CO2排出量を削減する。ラインアップは、セメントの代わりに投入する産業副産物などの配合状況で分類した「建築基準法対応型」「フライアッシュ活用型」「セメント・ゼロ型」「Carbon-Recycle」の4タイプがあり、目的用途により適切な仕様のコンクリートを扱える。

≪≫ 出典:大成建設プレスリリース

 特徴は、コンクリート内部にCO2を固定し、製造過程におけるCO2排出量収支のマイナスを実現するだけでなく、通常設備で製造でき、普通コンクリートと同等の強度と施工性を発揮する。加えて、コンクリート内部の鉄筋腐食を防ぎ、構造物の耐久性を保つ。

 両社は、上記の技術を組み合わせるために必要な炭酸カルシウムの製造方法について共同開発を進め、2030年頃までに実用化を目指す。共同開発では、アイシンはカーボンリサイクル・コンクリートに適した炭酸カルシウムの製造・評価を、大成建設は本技術で生成された炭酸カルシウムのカーボンリサイクル・コンクリートへの活用・評価をそれぞれ担当する。

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