大成建設は、保有する技術センターの壁材に、カーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete/Carbon-Recycle」を導入し、壁材全体で1.1トン以上のCO2排出量を削減した。
大成建設は、2021年2月に開発したカーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete/Carbon-Recycle」を国内で初めて建築物に適用したことを同年12月1日に発表した。
同社はこれまで、CO2の排出抑制と産業副産物の有効利用を促進する目的で、環境配慮コンクリート「T-eConcrete」や石材調建材「T-razzo」、トンネル用セグメント「T-eCon/Segment」などのコンクリート2次製品を構造物へ適用してきた。
加えて、2021年にはコンクリート内部にCO2を固定することで、CO2排出量の収支をマイナスにするカーボンリサイクル・コンクリートのT-eConcrete/Carbon-Recycleも開発した。
また、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、社会実装への第一歩として、大成建設が保有する技術センターで、T-eConcrete/Carbon-Recycleで製作した壁部材の導入に踏み切った。
具体的には、2次製品工場で通常のコンクリート製品と同様の工程※1で製造した壁部材を技術センター内に新設する実験施設内部の壁部材に適用した。今回使用した材料は、一般的な建物に使用する通常コンクリート(1平方ミリ当たり21〜24ニュートン)より高い圧縮強度である1平方ミリ当たり40ニュートンで、スランプフローは50センチ±10センチと優れた施工性を実現。
※1 通常のコンクリート製品と同様の工程:通常のコンクリート工場では、混練(セメント、骨材、水、各種添加剤を練り混ぜること)、製造する形に合わせた型枠への打設、給熱養生(蒸気等により熱を加えてセメントの固化を促す)、脱型(型枠から外す)の順で作業を行い、コンクリートを完成する
さらに、通常のコンクリートと同様に補強材として鉄筋と鋼繊維を採用しており、部材内部は強アルカリ性を保持しているため、鋼材の防サビ性に優れる。
環境配慮に関して、一般的にコンクリートで壁部材を製造する場合に、コンクリートのCO2原単位を試算すると1立方メートル当たり274キロとなるが、今回の材料では1立方メートル当たりマイナス50キロとなり、壁材全体で1.1トン以上のCO2排出量を減らした。
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