清水建設は、3次元鉄筋モデルの構造細目に対する照査や配筋施工図の作図を自動化するアドインプログラムを開発し、BIMソフトウェア「Revit」に実装した。Revitに今回のアドインを利用することで、多大な手間と時間を要していた照査と作図業務の省力化が可能となり、設計エラーの防止にも役立つ。
清水建設は、土木工事でBIM/CIMによる躯体設計プロセスを合理化するために、3次元鉄筋モデルの構造細目に対する照査や配筋施工図の作図を自動化するアドインプログラムを開発し、BIMソフトウェア「Revit」に実装したことを2022年3月15日に発表した。
国土交通省は、2023年までに公共工事でBIM/CIMの原則適用を目指す方針を公表し、建設生産プロセスに3次元モデルを活用する動きが加速している。3次元モデルの利用に関して、BIM/CIMで作成した3次元鉄筋モデルを用いた施工図の作成では、3次元鉄筋モデルを任意の断面で切り出すことで2次元の平面図を容易に作れ、部材の集計表もモデルの属性情報から自動的に算出できる利点がある。
しかし、重ね継手(つぎて)の長さや配筋間隔など、3次元鉄筋モデルに反映された構造細目※1(さいもく)が設計仕様に合致しているかを確認する照査業務については、設計者が手動で作業する必要があり、プロセス全体の合理化を妨げる要因となっていた。さらに、作図業務も、施工図に必要な矢視などは手動で付加する必要があり、手間だった。
※1 構造細目:隣接して配置された鉄筋の長さや間隔などを指す。
そこで、清水建設は、BIM/CIM活用の推進を目的に、これらの作業を自動化するアドインプログラムを開発した。
今回のアドインプログラムは、BIM/CIM関連のシステム開発を手掛けているAMDlabの協力を得て開発したもので、「構造細目の照査」「配筋種別の分類」「作図」といった3つの機能により、配筋施工図の作成と照査の合理化を実現する。
構造細目の照査では、モデル内における重ね継手の位置を自動的に検出し、設計者が定めた要件との整合性を照査する。配筋種別の分類では、モデルを構成する各鉄筋の種別を、鉄筋の幾何(きか)学的な位置や鉄筋量に基づくアルゴリズムにより自動で分類可能。作図については、照査を終えたモデルから抽出した平面図に矢視などを半自動で付加する機能を備えている。
清水建設は、海外の鉄道駅舎躯体工事で、新アドインプラグラムの実証適用に着手しており、適用対象を拡大していく予定だ。今後は、設計プロセスの上流段階における鉄筋モデル自動生成技術開発にも取り組み、構造解析から施工図作成までの設計プロセスを自動化することを目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.