日本設計とAutodeskがBIM本格普及に向け包括契約、BIMプロセス確立や設計BIMの省エネ検討などで協業BIM(1/2 ページ)

日本設計と米Autodeskは、国内のBIM本格普及に向けた3度目となる包括契約を更新した。両社の協業では、次の段階として、BIMワークフローの確立、高品質化・高性能化に寄与するBIMの構築、ビッグデータ活用の3本柱を掲げる。

» 2021年11月24日 14時22分 公開
[石原忍BUILT]

 日本設計と米Autodeskは2021年10月に、3度目の包括契約(EBA:Enterprise bargaining agreement)を更新した。締結を受け、2021年11月10日には「国内のBIM本格的普及に向けた包括契約」の更新に関する記者発表会を東京・新宿区の日本設計本社で開催した。

BIMワークフロー確立、高品質化・高性能化への寄与、ビッグデータ活用を目指す

 両社は2014年4月に、次世代BIM実現を目指してAutodeskとしては国内で初となるEDAのパートナーシップを結び、建物のライフサイクルを通じて、オーナー、利用者にBIMの最大限の効果をもたらす建築、都市環境を提供すべくともに活動を行ってきた。今回の更新で、国内での非競争領域の標準化を推し進め、BIMを国内で本格的に普及していくために、引き続き協業を進めていく。

日本設計本社で開催した「国内のBIM本格的普及に向けた包括契約」の更新に関する記者発表会

 業務の効率向上のためには、デジタル統合の最適化/標準化、設計・施工・維持管理でのデータ連携が課題と見なしている。また、両社は今後のテーマとして、国内の本格的なBIM普及、建設業でのDX推進、カーボンオフセットのそれぞれの実現を掲げている。

 将来は、Autodeskのクラウドプラットフォーム「Autodesk Forge」を発展させ、現在は分断してしまっている業界の垣根を超えたテクノロジーやデータの融合(コンバージェンス)で生まれる新たな価値の提供を目指す。

 Autodeskでは、アジアパシフィック アカウント営業本部 シニアディレクター ルー・グレスパン氏が協業の目指す姿として、「グローバルのなかも日本市場は重視している。とくに国土交通省の推進するBIMでも日本設計の存在は大きく、BIMが先行している米国やシンガポールでの知見を生かし、同社のBIMジャーニーをサポートしていきたい」と話す。

 今後3年間の両社協業による具体的な実行プランとしては、「BIMワークフローの確立」「建物の高品質化・高性能化に寄与するBIMの構築」「DX推進とビッグデータの活用」の3点に注力する。

日本設計 代表取締役社長 篠崎淳氏

 BIMのワークフロー確立では、日本設計はこれまでに、建築BIM推進会議の各部会や各団体の活動に積極的に関わり、国内のBIM標準化整備に全面協力してきた。2021年10月には成果の一つとして、設計をするうえでBIMのワークフローを定めた「設計BIMワークフローガイドライン建築設計三会 第1版」建築BIM推進会議で策定されたことを受け、日本設計 代表取締役社長 篠崎淳氏(※崎は山へんに立)は「国内でBIMワークフローの定着を図るべく、建築BIM推進会議の各部会や建築設計三会などの関係団体での活動を通じ、大手以外の第2、第3陣のBIM活用を後押ししていく」と語る。

 BIM標準化では、メーカーにオブジェクトの提供を促し、日本設計を含む関係団体が監修することで、設備や電気の大手メーカーを中心に幅広いオブジェクトがユーザーに供給されつつある。なかでも世界で遅れていた電気関係のBIMは、国内で利用可能な電気系BIMオブジェクトの整備に加え、国内電気メーカーからも照明シミュレーションやバスダクトが提供されるようになり、実プロジェクトでの導入も始まっている。

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