奥村組、パスコ、ビーイングは、建設工事の進捗管理と施工計画の変更に伴うコストの一元管理を可能にする5次元の施工シミュレーションシステムを開発した。
奥村組、パスコ、ビーイングの3社は、建設工事における構造物の3次元モデルと工程情報(時間軸)を連携させた「4次元施工シミュレーションシステム」に、積算情報を加えた「5次元施工シミュレーションシステム」を開発したことを2022年2月14日に発表した。既に鉄道高架工事の実検証で、その有効性を確認したという。
5次元施工シミュレーションシステムは、パスコの3次元データ統合ソフト「PADMS(パダムス)」をベースとし、ビーイングの工程管理ソフト「BeingProject-CCPM(ビーイングプロジェクト-シーシーピーエム)」と積算ソフト「Gaia(ガイア)」を相互連携させている。シミュレーション機能を搭載しているため、工事進捗とコストの情報を1つの画面上で確認でき、施工計画の変更があっても柔軟に対応することが可能になる。
システム上では、それぞれのソフトから出力される積算情報や工程情報、構造物の3次元モデル(CADオブジェクト)をIDで関連付けて、各情報を一元化し、時間軸で連動させている。そのため、仮に工程情報を修正すれば、工程管理ソフトに修正情報がフィードバックされる。
シミュレーションでは、施工計画や計画変更時のCADオブジェクトを型枠工、鉄筋工、コンクリート工などの工種ごとに色分けし、工程の進捗状況を可視化。足場や型枠支保工などの仮設部材は、範囲と高さを簡易表示する。
コスト管理は、工事全体と指定月での施工完了部分のコストを円グラフで表示。また、月ごとの出来高金額の棒グラフや当初計画と実績を比較できる進捗率の線グラフにも対応し、Excel形式で出来高帳票が出力できる。
奥村組、パスコ、ビーイングは、5次元施工シミュレーションシステム開発の背景に、建設工事では、さまざまな条件により、施工計画の変更が発生し、その都度、工程やコストなどの見直しが必要となるが、構造物の3次元モデル(設計図)、工程情報、積算情報は異なるシステムで管理されることが多く、施工計画の変更に伴う各情報への反映に時間を要してしまうという課題があったことを挙げる。
今後は、実工事でシステムの適用を進め、ノウハウの蓄積とシステムの改良を重ねるとともに、多様な工種への展開を図る。さらに、i-Constructionでの浸透とともに、将来のBIM/CIM原則適用を見据え、機能を拡張させ、生産性向上に寄与する基幹システムとしていく。
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