FMシステムの代表取締役社長である柴田英昭氏は「ファシリティマネジメント フォーラム 2021」で、同社の統合FMプラットフォーム「FM-Integration」について説明した。FM-Integrationを利用することで、BIMモデルとFMモデルが連携し、BIMで管理されているデータがFM用途でも活用しやすくなるという。
日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)は、「ファシリティマネジメント フォーラム 2021(第15回日本ファシリティマネジメント大会、ライブ配信:2021年2月17〜19日/オンデマンド配信:2021年2月22〜3月1日)」を開催した。
会期中に繰り広げられた数々のセッションのなかで、JFMAのFM戦略・企画研究部会に属するFMシステム 代表取締役社長 柴田英昭氏は、「BIMと連携するファシリティマネジメントのご紹介」と題し、同社の統合FMプラットフォームである「FM-Integration(エフエム-インテグレーション)」について講演した。
これまでは、設計・施工を中心にデータを蓄積して管理してきたBIMだが、さらに広い範囲で利用され始めつつある。
今回の講演では、BIMで扱うデータのFM分野での利用例を示した。また、そのプラットフォーム「FM-Integration(エフエム・インテグレーション)」の紹介に多くの時間が割かれた。
柴田氏は、近年、BIMデータが施設の運営管理や保守点検、エネルギー分析といったFMの領域で使われつつあると言及した。そのうえで、建物の設計や施工で活用されてきたBIMデータをFM領域で扱うには、その間に存在するギャップを考慮しなければならないと語る。そして、現在は「そのギャップをいかに埋めるかというテーマでBIMを扱う試みをしている状況だ」とした。そのギャップを埋めるのに有効なのが、FM-Integrationとなる。
そもそも、BIMモデルとFMモデルにはかなりの違いがある。BIMモデルには、設計・施工を行うため、主に生産情報を持つオブジェクトが含まれている。例えば、意匠、構造、設備をはじめ、その他の設計情報や規格、実施設計や竣工計画などをカバーするのがBIMだ。これに対し、FMモデルは、建物の資産分類や維持管理の対象となるオブジェクトで構成されている。エネルギー、空間、保全、設備や備品管理などの情報を網羅するのがFMモデルとなる。
FMの活動は広範囲に及ぶが、その目的の1つに“維持管理によって建物の資産価値を落とさないこと”がある。FM活動には、メンテナンスのスケジュール、建物を構成する要素やシステムの分析、資産管理、スペース管理などの分野がある。また、実行に際しては土地台帳、建物台帳、都市計画などといったさまざまなデータベースからまず関連項目を抜き出す必要がある。
柴田氏は、こうした用途でBIMモデルを活用するためには、現状ではBIMモデルとFMモデルの構成が一致していないため、BIMからFMへ情報を交換/変換しなくてはならないと指摘した。
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