東急建設は、千葉県内の「一般国道127号 勝岩トンネル」で、トンネル全断面点検・診断システム「iTOREL」の1つである「高所作業車型点検システム」の現場試行を行った。結果、点検作業に必要な人数が最大40%削減可能であることが判明した。
東急建設は、2014〜2018年度にかけて実施された内閣府「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)※1 インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」で開発したトンネル全断面点検・診断システム「iTOREL」の現場試行を行ったことを2022年2月24日に発表した。
※1 SIP(戦略的イノベーション創造プログラム):内閣府に設置された「内閣府総合科学技術・イノベーション会議」が司令塔機能を発揮して、府省・分野の枠を超えた科学技術イノベーションを実現するために創設した国家プロジェクト。各課題をリードするプログラムディレクター(PD)を中心に基礎研究から実用化・事業化まで一気通貫での研究開発を推進している。
iTORELは、トンネル点検を対象としたシステムで、覆工コンクリートのひび割れと浮きを自動検出するひび割れ検出ユニットと打音検査ユニットで構成され、定量的かつ経時的な変化も把握可能な点検データを取得するだけでなく、点検から帳票作成までの作業効率を向上させる。
さらに、東急建設では、iTORELシリーズとして、道路をふさがないフレームによって自動車などの通行を妨げない「ガントリ型点検システム」と、ガントリ型と比較して8倍以上の作業スピードを誇る「高所作業車型点検システム」も開発している。
今回の現場試行は、関東地方整備局が実施しているプロジェクト「現場ニーズと技術シーズのマッチング」を利用したもので、2021年10月に千葉県内の「一般国道127号 勝岩トンネル」で、iTORELの作業性や点検精度に関する導入効果を確認した。
具体的にはiTORELの高所作業車型点検システムを用いて検証を行った。検証では、点検システムを用いない従来の方法に比べて、点検作業に必要な人数が最大40%削減可能であることや帳票作成などの内業時間が18.5%減らせることが判明した。
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