竹中土木は、山岳トンネル工事で危険を察知する監視技術の実用化に成功し、特許を出願した。既に福井県のトンネル工事現場で、システムの有効性は実証済みで、押出し性を有する脆弱な地山などで導入していくという。
竹中土木は2018年5月23日、神戸大学大学院 芥川真一教授のもと、演算工房と計測技研と共同で、山岳トンネル工事の掘削面での岩石落下(肌落ち)や崩落の兆候を把握し、事前に知らせる警報発信手法を開発した。
開発に協力した2社のうち、計測技研は高精度レーザーによる切羽の挙動計測、演算工房は切羽へのグリーンレーザーによる警報発信とウェアラブル端末へのAR描画(切羽映像と変位状況の可視化)を担当した。
新技術は、レーザー距離計、切羽撮影用カメラ、ラインレーザー、制御PCで構成。高精度のレーザー距離計で、水平方向にレーザー光を照射して、掘削の最先端である切羽の押出し量を測定する。絶対変位量や変位速度などを管理基準値と対比して、超過した場合には警報を発信。管理レベルを超過した計測点の周辺は、緑の光を高速回転で照射し、岩盤に任意の形状を描画するラインレーザーでマーキングする。
同時にAR技術を活用し、カメラで撮影した実際の映像上に変位状況を表示する。監視員はスカウター型や透過式メガネを装着することで、工事を目視しつつ、ディスプレイ上で危険度をリアルタイムに確認。危険表示は、水平に並んだ数か所の円で表現され、3段階の色分けと、円のサイズで危険度を知らせる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.