大成建設は施工情報、現場情報、書類情報などを一元管理・共有できる山岳トンネル工事向けのCIM「T-CIM/Tunnel」を開発し、実際の山岳トンネル工事現場への導入を開始した。3D CADより簡易に3Dモデルを作成できる独自のツールを導入し、切羽観察シートの作成を作業現場で完了できるなど、山岳トンネル工事における大幅な現場作業の効率化に貢献するとしている。
大成建設は施工関連情報を管理、共有するCIM(Construction Information Modeling)システムで、山岳トンネル工事に対応した「T-CIM/Tunnel」を構築し、このほど、実際の施工現場へ導入した。
現在、山岳トンネル工事ではCIMの導入が進んでいるが、3Dモデルの作成や施工情報とのひも付けなどに煩雑な3D CADの操作が必要であるため、現場だけでは対応しきれないという課題があった。
そのため大成建設では、施工情報(施工管理、品質・出来形管理各種データ)、現場情報(安全管理、警報通知)、書類情報(帳票・資料)などを一元管理、さらに情報共有することで作業効率を大幅に改善し、業務管理の負荷を低減させることができるT-CIM/Tunnelを構築、導入した(図1)。
T-CIM/Tunnelはトンネル断面情報と線形データなどから自動的に簡易3Dモデルを作成できる。また、作成されたモデルへの施工情報のひも付けには、従来の3D CADではなく、操作が容易な簡易ソフトを使用することで、作業効率向上を実現する。
情報共有のツールとしては「WindowsタブレットPC」を使用し、場所を選ばず、写真撮影・データ入力から帳票作成までを行うことができる。例えば、切羽観察では、タブレットPCを使用して切羽状況の写真を撮影・加工し、観察データを入力・記録することで、切羽観察シートの作成を「現場」で完了できるなど、作業の効率化を図ることが可能だ。
さらに、切羽観察記録などの掘削管理、施工管理や品質・出来形管理のデータを、現場事務所などに設置されたサーバを介して、工事関係者間で情報共有することができる。
今後、同社では、同システムを新規受注工事に対して積極的に導入を図り、2017年度以降は、全トンネル工事作業所への展開を目指す。また、国土交通省が策定を進めている「CIM導入ガイドライン」に対応できるようにT-CIM/Tunnelの機能拡張を進める方針だ。
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