大成建設と小松製作所は、土砂の運搬や排土作業といった全ての運搬作業を自動で行えるリジッドダンプ「T-iROBO Rigid Dump」を開発した。今後、両社は、実現場でT-iROBO Rigid Dumpの検証を継続し、高度な自動化と複数台での自動連携を視野に入れた技術開発を進める。
大成建設と小松製作所(以下、コマツ)は共同で、コマツ製リジッドダンプ※1「1HD465」をベースに、積込機械や敷きならし機械と連携しながら、土砂の運搬や排土作業といった全ての運搬作業を自動で行えるリジッドダンプ「T-iROBO Rigid Dump」を開発したことを2022年2月22日に発表した。
※1 リジッドダンプ:乗用車と同様に前輪で舵(かじ)をとる機構のダンプトラックを指し、比較的整備された路面を高速で走行する。車体自体が屈曲して舵をとるアーティキュレート式(不整地対応)とともに建設現場で活用する大型土工事対応のダンプトラック
国内では、高齢化による生産労働人口の減少が社会問題となる中、建設業界でも担い手不足が深刻化している。解決策として、大成建設では、さまざまな機器で得られた映像や測定情報といった各種データの活用で、建設現場をスマート化する建設デジタルトランスフォーメーションを推進中だ。とくに、建設機械の自動化技術は、省人化だけでなく、安全性の向上に役立つため、開発に注力している。
具体的には、無人で作業を行う建設機械「T-iROBO※2」シリーズとして、自動化技術を採用した6機種を開発してきた。6機種目がT-iROBO Rigid Dumpとなる。
※2 T-iROBO:ロボットの協働を目的として、大成建設が開発した各種作業用ロボット。建設機械に搭載するシステムには、振動ローラーが施工位置を把握しながら、自ら判断して自動で転圧作業を行う転圧走行無人化施工システム「T-iROBO Roller」、削岩したい岩を指定するだけで建設機械が自ら判断して岩に接近し、自動で粉砕する割岩無人化施工システム「T-iROBO Breaker」、ピット内の土砂を認識して自動的に掘削積込みを行う無人化施工システム「T-iROBO Excavator」、人体検知システムにより安全性を確保しながら運搬作業を自動で行う自動運転クローラダンプ「T-iROBO Crawler Carrier」がある
T-iROBO Rigid Dumpは、最高速度が時速30キロで、一度有人走行させたルートをトレースして自動で走れ、有人走行と遜色ないスピードで土砂運搬作業が行える。
さらに、機体に取り付けられた各種機器やセンサー※3を用いて、人や障害物を検知して自動走行を停止することが可能な他、緊急時には監視者が手動で非常停止ボタンを押すことにより自動走行を停止させられる。この非常停止信号は、制御信号の通信とは別系統のため、万が一の場合でも安全に自動走行を停止する。
※3 センサー:AI画像解析によって人体を検知する車載カメラシステム「T-iFinder」と、障害物を検知する3D−LiDAR(Light Detection and Ranging)を搭載
加えて、積込機械や敷ならし機械の位置情報を座標として認識し、その座標まで低速で精度良く走る「接近走行」に対応するため、作業中に各建設機械による積込位置や排土位置が変化しても、再設定をせずに走行ルートを自動で生成することができる。
また、大成建設とコマツは、T-iROBO Rigid Dumpの能力を把握するために設けた桑名実験場で、性能検証を行い、高い作業性と安全性を確認した。
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