大成建設と沖電気工業は、スマートデバイスで共有した情報を自動で帳票化する一元管理システム「T-Communication」を共同で開発した。T-Communicationは現場に適用することで、作業内容や指示に関するデジタルデータを作業毎に整理し個別情報として自動で帳票化し、関係者間で共有できるため、作業の生産性を高められる。
大成建設と沖電気工業(以下、OKI)は、建設現場で関係者がスマートデバイスを用いて相互に送信した会話と写真を含むデジタル情報を整理し、自動で帳票を作成して関係者全体の共有情報とする一元管理システム「T-Communication」を共同で開発したことを2022年2月8日に発表した。
これまで、建設現場では、安全・品質などに関する書類作成に多くの時間と労力を費やしており、時間短縮やデータ処理といった現場管理業務の効率化が課題となっていた。解決策として、タブレットなどのスマートデバイスにより各種情報を自動帳票化する技術も導入されてきたが、多機能で複雑な操作が必要なシステムが多く、シンプルで簡易な操作性を備えた仕組みが求められていた。
そこで、大成建設とOKIはT-Communicationを開発した。T-Communicationは、スマートデバイスを活用して相互に共有した会話・写真を含むデジタル情報を作業ごとに整理し、個別情報シートや各時系列の一覧表などに自動帳票化し、関係者全体の情報として一元管理するシステム。
具体的には、建設現場などのさまざまな作業環境で、スマートデバイスを用いて関係者間で取り交わされたデジタルデータを基に、作業ごとに個別情報シートなどの帳票を自動作成し、生成された情報を時系列で整理して記録することでエビデンスとして残せる。
さらに、関係者の誰もが一覧表を介して作業の進捗状況をリアルタイムに確かめられ、従来の手書きによる情報の受け渡しや作業終了後の帳簿作成など、煩雑で手間がかかった帳票データ作成に関する業務が全て自動で行えるようになる。
加えて、個別情報シートや一覧表などを自動作成する際にはワンプッシュ操作や音声入力など、単純ですぐに対応できる方法を採用しており、操作性が高くデジタル機器操作に慣れていない現場作業者にも使いやすい簡易な仕様とした。
また、職種に関わらず、さまざまな作業環境に適用する。一例を挙げると、離れた場所からの施設管理やメンテナンス業務に関するやりとりなどにも効果的に使える。
両社は、2022年4月に竣工予定の施設「OKI本庄工場H1棟(埼玉県本庄市)」をはじめとする他10件の建設現場で検証を行い、有効性を確認した。
今後、大成建設は、同社の建設現場約50カ所でT-Communicationの追加実証を行い、生産性向上による働き方改革を遂行する1つのツールとして社内で積極的に展開していく他、取得した実証データをOKIに提供し、新システムの機能拡張と商品化に向けた開発に協力する。
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