熊谷組は、フジモリ産業とともに、共同住宅で高い床衝撃音遮断性能を発揮する波型中空合成スラブ「サイレントLFR」を開発した。サイレントLFRの販売はフジモリ産業が担当する。
熊谷組は、フジモリ産業とともに、共同住宅で優れた床衝撃音遮断性能を発揮する波型中空合成スラブ「サイレントLFR」を開発したことを2022年1月28日に発表した。
共同住宅では騒音を抑えることが重要視される。とくに、上階での歩行音や物を床に落とした時の音は住人同士のトラブルに発展する可能性があるため、対策として、建物の内装材だけでなく、構造体の床スラブで床衝撃音遮断性能を高める必要がある。
また、以前に多くの物件で使用されていた「矩形(くけい)ボイド型枠」を用いた中空合成スラブは、ボイド型枠上面で共振現象が起こるため、高い周波数領域で床衝撃音遮断性能が低下していた。
解決策として、熊谷組が開発した「サイレントボイドスラブ」は、遮音性能に優れた中空合成スラブ(ハーフPCa板を用いたボイドスラブ)として多くのデベロッパーで共同住宅用に採用されている。さらに、ボイド型枠を「波型」とすることで共振現象を抑制し、優れた床衝撃音遮断性能を確保することに成功している。
しかし、厚さの薄いスラブへの適用やスラブ重量の軽量化が求められていた。そこで、熊谷組とフジモリ産業は新しい中空合成スラブのサイレントLFRを開発した。
サイレントLFRは、波形を多重に組み合わせた独自の形状を持つボイド型枠を採用し、ボイド型枠上面での共振現象を抑え、矩形ボイド型枠を用いた中空合成スラブに比べて優れた床衝撃音遮断性能を実現する。
独自の形状を持つボイド型枠の体積は、サイレントボイドよりも増えたことでコンクリート量が少なくなり、等価重量スラブ厚に換算して約5ミリのスリム化を達成し、スラブの重さを軽くしている他、サイレントボイドスラブの適用範囲はスラブ厚さ250ミリ以上だったが、サイレントLFRは230ミリ以上に対応し、適用範囲が広がった。
加えて、日本建築センターの評定や国土交通省の「2時間耐火認定(国土交通大臣認定)」も取得している。両社は、実物大の試験体を用いた実験で、サイレントLFRは、サイレントボイドスラブと同様に、矩形ボイド型枠を用いた中空合成スラブと比較して優れた床衝撃音遮断性能であることを確認した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.