戸田建設は、佐賀県佐賀市で新築工事を進める競技施設「SAGAサンライズパークアリーナ」で、DataMesh製の専用アプリやタブレットなどを活用し、BIMモデルから作成した鉄骨建方のMRを施工中の建物に投映し、鉄骨建方の精度確認を行った。
戸田建設は、佐賀県佐賀市で新築工事を進める競技施設「SAGAサンライズパークアリーナ」で、発注者の佐賀県が2021年12月18〜19日に主催した「親子現場見学会」にて、「MR(複合現実)技術による鉄骨建方の精度確認」について、実用性を検証したことを2022年1月12日に発表した。
SAGAサンライズパークアリーナ新築工事では、建設工事での生産性向上を目的に、「BIMを用いた温熱シミュレーションによる気流解析の実施」「3Dプリントを使用した鉄骨工区分担範囲の見える化」「軒天井とエントランス天井の多面体定義や外皮小口パネルなどの製作図面出力」といった取り組みを行ってきた。
こういった活動の一環として、親子現場見学会で、MR技術による鉄骨建方の精度確認について実用性を検証した。具体的には、DataMesh製の専用アプリやタブレットなどを活用し、BIMモデルから作成した仕上げ壁や扉・窓などのMRを実際の鉄骨建方に投影することで、参加者に対して建物の完成イメージや工事における進ちょく状況の説明を行った。
今回の検証では、延べ面積が約3万4000平方メートルのSAGAサンライズパークアリーナをMR投影するに当たり、多くのデータ量が求められ、専用アプリに取り込むデータを抑えることが課題となった。解決策として、アプリの開発者であるDataMeshの技術でカバーしたが、MRの一部にデータの欠落が発生した。
また、MRの鉄骨建方と実際の建物との位置合わせや微調整などをどのように行うかも問題となった。そこで、戸田建設は、何度か現場でMRの投映を検証しつつ、建築系座標とゲーム系座標でXYZの捉え方が異なることを考慮して、MRで投映する鉄骨建方の位置を調整した。
加えて、専用アプリが、QRコードのみでMRの位置を確定するため、投影したいポイントを反映することがハードルとなったが、QRコード内にクロスラインを追記し、対象の床や柱面にクロスポイントをあらかじめ記入することで、20カ所の検証箇所で読み込み精度を高めることが可能となった。
戸田建設は、現在のMR技術では、最新の「iPad Pro」が備えている性能でも、デバイスから5〜6メートルの範囲内のみでしかMRの精度が保てないことを踏まえて、今後はMR機器自体の精度が上がることで実用性が増し、設計から施工まで幅広く使えるようになることを期待しているという。
SAGAサンライズパークアリーナは、S造地上4階建てで、延べ床面積は3万4025平方メートル。所在地は佐賀県佐賀市日の出2丁目1-10。設計監理は梓・石橋・三原設計共同企業体が担当し、施工は戸田・松尾・中野・上滝建設共同企業体が担い、工期は2020年3月19日〜2022年10月4日を予定している。
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