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» 2021年03月18日 06時00分 公開

CIMモデルをMR化して施工手順を可視化、大林組が鉄道工事で有効性を確認CIM

大林組は、DataMeshが開発した3次元モデルの施工手順をMRで投影するツール「ataMesh Director」を導入し、既に2件の鉄道工事に適用して工程管理での有効性を実証した。ataMesh Directorは、CIMモデルを専門知識が無くても手軽にMR化し、現場で作業の流れを複数人で共有することにより、施工計画の理解や手戻り削減につながり、さらに発注者への説明などにも役立つ。

[BUILT]

 大林組は2021年1月、BIM/CIMとMR技術を組み合わせ、建設現場で作業手順を3次元モデルで投影し、施工手順の共有や危険箇所の確認、発注者への説明といったさまざまなシーンで利用する新たな工程管理の手法を実現場に適用したと公表した。

現場に3Dモデルを投影、施工手順や危険作業、危険箇所をチェック

武蔵小杉駅の工事現場。MR上で補強斜梁の施工手順を確認 出典:大林組、DataMesh

 今回、MR技術を適用した鉄道工事は、列車が走る昼間は施工ができず、作業時間が終電から始発までの数時間に限定されることから、作業の手戻りは大きな損失となっていた。そのため、作業手順の確認には、発注者、協力会社などと綿密な協議を重ね、相当数の時間を費やしていた。

 そこで、大林組は「作業手順のMRによる可視化」に着目し、データセンターやクラウドなどサービス型のITソリューションを多数提供するシステムインテグレーターのTISと、MR向けコンテンツ制作の支援などを行うDataMeshとともに、作業手順をMR上で再現できる「DataMesh Director」を使い、建設中の鉄道現場2件で工程管理での有効性を実証した。

 2件の現場のうち、横須賀線「武蔵小杉」駅のホーム増設工事(横須賀線武蔵小杉駅2面2線化他)は、通路内に補強用の梁(はり)が露出するため、旅客者目線での作業計画作成に適用。鉄骨部材を組み立てる複雑な施工手順をMR投影で可視化し、実際の作業のスケール感や旅客への影響を複数の作業員や職員で共有して、安全な施工計画の立案に役立てた。

武蔵小杉駅の補強工事。補強斜梁施工手順イメージ 出典:大林組、DataMesh

 一方、JR東日本が発注した鉄道営業線の直上に高速道路の桁を架設する工事(東海道本線戸塚・大船間横浜環状南線交差部上部工新設)では、営業中の9つの線路全線を閉鎖して、約100分の限られた時間内に高速道路の桁送り出しを完了させるため、MR技術を採用。一連の作業が見える化されたことで、施工手順や危険作業、危険箇所をあらかじめ確認することが可能になった。

鉄道上空での橋梁の架設工事。橋梁主桁送り出し手順イメージ 出典:大林組、DataMesh

 建設現場での施工手順は、その時々で類似性が無く、施工対象の数だけ無数にあるため、ユーザー自身が簡単に手順をMR化するMRソリューションが求められていた。その点、DataMeshが開発したMRプラットフォームDataMesh Directorは、静的なモデルの表示だけではなく、手順など3Dアニメーションを短時間で作成し、遠隔地間での共有にも応じており、建設業でのMR業務の内製化が実現する。動的な3Dアニメーションで作業手順を現地で事前に把握しておけば、役割分担の決定に掛かる時間も大幅に短縮される。また、若手作業者でも正しく作業を理解し、施工中にも作業手順の動画を投影することで間違いを未然に防げる。

 また、作業指示や位置確認を行う場合は、2次元の施工図面を切り出す方法が一般的だが、DataMesh DirectorではBIM/CIMモデルを3DモデルのままMR化するため、立体的な完成のイメージを共有できる利点がある。BIM/CIMモデルがあれば、PowerPointのスライドを作成するように施工ステップを作れるので、従来よりも簡単に動的3Dコンテンツを作成または修正することが可能だという。なお、MR化した作成物はクラウドに保存され、複数媒体での投影に対応し、遠隔地同士での情報共有など、幅広い場面での活用が見込まれる。

 大林組は、今後も鉄道工事だけでなく多様な建設現場で、BIM/CIMとMR技術を用い、施工現場の生産性向上、働き方改革や労働環境の改善に努めるとともに、デジタル技術による業務やビジネスの変革を推進していくとしている。

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