「昨年は公共工事が下支えも今後はやや減少か」建設市場の2021年振り返りと2022年展望建設業の人材動向レポート(40)(2/3 ページ)

» 2022年01月25日 10時00分 公開

2021年公共工事の出来高は好調だったものの、民間工事の復調により減少に

 次に、公共工事の出来高は、各年の1月から9月までの累計では、2021年は2020年の16兆5255億円から1.1%増加。2019年の15兆4289億円比でも、8.3%増加となる16兆7099億円だった(図表5)。

【図表5 各年の公共工事の出来高累計の比較】 出典:国土交通省「建設総合統計」より建設HR 編集部が作成

 月別の推移を比較すると、2021年は6月までは好調に推移したが、7月以降は3カ月連続で2020年を下回った(図表6)。

【図表6 公共工事の出来高の月別の推移】 出典:国土交通省「建設総合統計」より建設HR 編集部が作成

 公共工事の出来高は、民間工事よりも好調に推移しており、2021年の建設市場は好調な公共工事が底支えしてきたが、民間工事が徐々に復調しつつあるなかで、公共工事は減少傾向となっていると判明した。

2021年の手持ち工事高は、全月で2019年と2020年を上回り高水準で推移

 今後の建設市場を展望する指標となる「手持ち工事高(契約済みの建設工事における請負金額のうち、未着手の工事に相当する金額分)」について、1月から9月までの過去3年間の月別推移を比較すると、2021年は全ての月で2019年及び2020年を上回っている。このことから、短期的には工事量は豊富だといえるだろう(図表7)。

【図表7 手持ち工事高の推移】 出典:国土交通省「建設総合統計」より建設HR 編集部が作成

 手持ち工事高を、民間工事と公共工事に分けてみると、両者ともに2021年は全ての月で2019年と2020年を上回る形で推移(図表8、9)。手持ち工事高の増加率で比較すると、民間工事より公共工事の方が高いことから、しばらくは公共工事が建設市場を底支えする構造が続きそうである。

【図表8 民間手持ち工事高の推移】 出典:国土交通省「建設総合統計」より建設HR 編集部が作成
【図表9 公共手持ち工事高の推移】 出典:国土交通省「建設総合統計」より建設HR 編集部が作成

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.