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» 2022年01月21日 09時00分 公開

ドーム型構造体を在来工法に比べ短工期で施工可能な工法を開発、鹿島建設新工法

鹿島建設は、米国に本社を構えるドーム・テクノロジーとの技術提携で、多様なドーム型構造体の構築が可能な「KTドーム」工法を開発した。その後、建築基準法に基づき、KTドーム工法で、吹付けコンクリート(特殊な建築材料)を用いた構造の大臣認定を取得し、2020年3月に鹿島建設が神奈川県小田原市で保有するドーム型事務所棟の建設に適用した。

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 鹿島建設は、米国に本社を構えるドーム・テクノロジーとの技術提携で、多様なドーム型構造体の構築が可能な「KTドーム(KAJIMA next Technology DOME)」工法を開発したことを2021年12月23日に発表した。

沿岸部でも高い耐久性を確保可能

 近年、国内では、持続可能な社会の実現に向け再生可能エネルギーが注目される中、各地でバイオマス発電施設が計画され、鹿島建設はその材料となる木質ペレットの貯蔵庫建設を検討する機会が増えている。

ドーム・テクノロジーの事務所と貯蔵庫の施工事例 出典:鹿島建設プレスリリース

 このような中で、穀物やセメントといったさまざまな貯蔵庫のドーム技術を用いた建設の実績を多数持つドーム・テクノロジーからドーム技術の紹介を鹿島建設は受け、日本への技術導入を検討してきた。

 その後、ドーム・テクノロジーの技術は、鋼製サイロやRCサイロといった在来工法に比べ、ドーム型構造体を短工期で施工できることを確認したため、鹿島建設は技術提携し、KTドーム工法を開発した。

 KTドーム工法は、工場製作したドーム型のポリ塩化ビニール(PVC)膜に空気を送り込んで膨らませ、型枠として内側からコンクリートを吹き付けることで躯体を構築していくため、施工中に天候の影響を受けにくく、工期の短縮や建設コストの低減が図れる。

ドーム壁面の構成(断面図) 出典:鹿島建設プレスリリース

 具体的には、PVC膜が塩害から躯体を守るため、沿岸部でも高い耐久性を確保でき、ドームの内側に吹き付けた断熱材が外部の熱を効果的に遮断し、一年を通じて安定した室内温度を保持する。加えて、内部に継ぎ目がないため粉塵(ふんじん)が蓄積せず、断熱性が高く結露の発生を抑えられ、粉塵や結露により自然発火する恐れがある木質ペレットなどの可燃性貯蔵物が発火するリスクを減らせる。

 さらに、内部の躯体工事は、PVC膜を膨張後、膜の内側から行うため、天候の影響を受けにくくスピーディーな施工が可能で、貯蔵量に比例して、建物規模が大きくなるほど建設コストがダウンする。

KTドーム工法を用いたバイオマス発電燃料貯蔵庫や大空間教会、「東京」駅丸の内駅舎の大きさの比較 出典:鹿島建設プレスリリース

 鹿島建設は、2020年3月に、同社が神奈川県小田原市で保有する西湘実験フィールドで、KTドーム工法を用いてドーム型事務所棟を建設した。この実績を踏まえ、2021年6月にKTドーム工法を山口県周南市の「トクヤマ南陽工場ドーム型サイロ建設工事」に適用し、同年12月16日にはPVC膜の膨張を行った。その結果、1時間ほどで直径27.5×高さ28メートルの大空間を実現した。

トクヤマ南陽工場ドーム型サイロの完成イメージ(ドーム東側) 出典:鹿島建設プレスリリース
トクヤマ南陽工場ドーム型サイロの完成イメージ(ドーム西側) 出典:鹿島建設プレスリリース

 また、1万トンの貯蔵量を備え、個別の案件ごとに大臣認定の取得が必要だが、4.5万トン(直径52×高さ50.25メートル)の貯蔵サイロで構造評定の取得実績があるため、同規模までの検討が可能。現在、内部躯体を施工中で、2022年5月にドーム躯体工事が完了する予定だ。

 今後、鹿島建設は、サイロ用途を含むドーム大型化の検討を進める他、無柱の大空間を構築できる利点を生かし、サイロだけではなく、体育館やアリーナなどの施設をはじめとする多様な用途の建物建設にKTドーム工法を提案していく。

トクヤマ南陽工場ドーム型サイロ建設工事の概要

 トクヤマ南陽工場ドーム型サイロは、RC造地上1階建てで、延べ床面積は594平方メートル(ドーム部分のみ)。所在地は山口県周南市渚町4900-4 徳山製造所南陽工場。設計・監理・施工は鹿島建設が担当し、工期は2021年6月〜2022年12月を予定している。

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