LIXILとソフトバンクは、スマートビル分野での新規事業の創出を見据え、「福岡 ヤフオク!ドーム」で、IoTを用いたパブリックトイレのデータ活用に関する実証実験を開始した。トイレの稼働状況と人の流れのデータを連動させ、水回り設備の保守・メンテナンスや施設リニューアルの設備計画など、長期的な「ライフサイクルマネジメント(LCM)」に活用するのが狙い。
LIXILとソフトバンクは、福岡ソフトバンクホークスの拠点球場「福岡 ヤフオク!ドーム」で、IoTを用いたパブリックトイレのデータ活用に関する実証実験を開始した。期間は2019年2月1日〜2020年1月31日。
LIXILは、2年前から東京・江東区の自社オフィスビルのトイレで、さまざまなセンサー機器を設置し、パブリックトイレIoTにおける技術開発と運用のノウハウを構築してきた。
実証実験では、これまで蓄積してきたパブリックトイレのIoT技術を用いて、ソフトバンクが保有する人の流れに関するデータ(人流データ)、基幹設備や各種センサーデータなどを連携させて分析する。これを踏まえ、パブリックトイレのデータ活用を検討して、新しい顧客価値、サービス、新規事業の創出を目指す。
対象となるトイレは球場内の36カ所で、施設に設置された大便器・小便器・電気温水器・自動水石けん器などの機器の稼働データ、トイレットペーパーや水石けんなどの消耗品の残量データ、施設内の人流データを組み合わせる。これにより、「効果的な清掃方法についての施策立案」「故障検知・予測による水回り機器の最適な保守」「施設リニューアル時の最適な器具数算定や配置」など、設備機器の生涯に関わるライフサイクルマネジメントに活用することを目指す。
また、試合やイベントが開催している期間のトイレが混雑している解決策など、取得したデータを利用することで利用者の利便性を高めるさまざまな方法についても検討する。
具体的にはトイレの水位やバルブの状態、便座温度設定などの各種設定情報を収集。統計的な処理によって、携帯電話の基地局との接続情報といった個人データを匿名化し、人流データとして利用することで、基幹設備や各種センサーからもデータを集める。
これらのデータを組み合わせて、新たな活用方法を検討するとともに、サービスアプリケーションや機器の制御、AI(人工知能)を加えて、新たな顧客価値を創出するための実験も行う。将来的なスマートビルディング分野におけるサービスや新規事業を検討するベースにするという。
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