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» 2021年12月06日 13時00分 公開

ズリ鋼車に積載された土量を走行中に自動計測する新システム、計測誤差は±1%山岳トンネル工事

大成建設は、掘削土砂運搬車両(ズリ鋼車)に積載された土量を走行中に自動計測するシステム「ドーリースキャナ」を開発した。今後は、現場での適用実績を踏まえ、泥土圧シールド工事における掘削土量計測の精度向上と業務効率化を図っていく。

[BUILT]

 大成建設は、泥土圧シールド工事の掘進に伴い発生する掘削土量を正確に把握し、切羽(きりは)の安定を確保して安全に施工を行うため、掘削土砂運搬車両(ズリ鋼車)に積載された土量を走行中に自動計測するシステム「ドーリースキャナ」を開発したことを2021年11月19日に発表した。

土量の自動計測と同時に結果を記録

 シールド工事では、周辺地盤に与える影響を最小限に抑えるために、施工時における掘削土砂の管理が重要となる。とくに、掘削土量の計測は最も大切な項目で、土質や工事規模などの条件を加味し、ポンプ圧送、連続ベルコン、ズリ鋼車などを用いた土砂運搬手段から適切な方法を選択し、それぞれの手段に応じた計測方法が採用されている。

 計測方法のうち、ズリ鋼車を用いて土砂を運搬する際の土量は、これまでズリ鋼車を立坑から搬出する前に、作業員がズリ鋼車の天端から土砂までの高さをメジャーにより測定していた。しかし、計測に手間がかかり、測定結果をその場で記入しても作業終了後に事務所で再入力しなければならず、計測業務の効率化につながる高精度でリアルタイムな管理手法が求められている。

 そこで大成建設は、レーザー光を照射して対象物までの距離や形状を測れる2D-LiDARセンサー※1を用いて、ズリ鋼車を走行させながら積載された掘削土砂の状況を検知し、掘削土量を高精度で効率的に算出する計測システムとしてドーリースキャナを開発した。

※1 2D-LiDARセンサー:LiDAR(Light Detection and Ranging;光の検出と測距)センサーは、レーザー光を照射し反射光や散乱光を検出することで、対象物までの距離や形状を測定する装置の総称。近年では自動車において障害物や周辺車両の検出など、自動運転技術を実現するための不可欠な要素となっており、小型化や低コスト化など、積極的に開発が進められている。LiDARセンサは光源であるレーザーと受光素子によって構成されている。今回は、2次元で対象物にレーザー光を照射し、反射や散乱によって戻ってくるまでの時間(飛行時間)を測定している

「2D-LiDARセンサーの計測イメージ 出典:大成建設プレスリリース

 ドーリースキャナは、削土量を細かく補正できる演算方法などの採用により、ズリ鋼車の走行速度に関係なく、走らせたまま土量を計測誤差±1%未満で測れる。さらに、掘削土量の情報は、工事事務所、監視室、シールドマシン運転室の各モニターにリアルタイムに表示される他、従来の作業員による土量計測が不要となり、土量の自動計測と同時に結果を記録するため、計測作業の省人化となり、業務の効率化を実現する。

「ドーリースキャナ」の概要 出典:大成建設プレスリリース

 加えて、特別な装備を追加することなく、海洋土木工事で用いる土砂運搬船に積載した土量計測などにも適用が可能で、高い汎用性を有す。

 大成建設は、香川県高松市で進められた西部バイパス幹線工事などで、ドーリースキャナの現場実証を行った。その結果によれば、ズリ鋼車が空の状態での容積算出と既知土量を積載した場合の計測結果に基づき基準データを設定し、土量補正の演算方法などを改善することで、計測誤差±1%を達成した。また、ズリ鋼車の走行速度に影響されず測れることも併せて分かった。

 上述の現場実証結果を踏まえ、2020年から関西地区でのシールド工事に本格導入され、掘削土量を高精度に管理し、施工管理の効率化を後押ししている。

現場実証における土量の計測状況 出典:大成建設プレスリリース
現場実証における土量計測のモニター表示 出典:大成建設プレスリリース

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