VR/ARが描くモノづくりのミライ 特集

大林組の土量測量アプリに“AR版”が登場、作業時間を9割短縮XR

大林組が開発した測量アプリ「スマホdeサーベイ」がARアプリ化され、2019年10月中旬から一般向けに発売される。

» 2019年10月18日 09時00分 公開
[BUILT]

 大林組とエム・ソフトは、地形と土量を簡単に測量できるアプリ「スマホdeサーベイ」のAR版を開発し、2019年10月中旬にはエム・ソフトを介して一般向けにも発売する。これまでのスマホdeサーベイでは、専用スマートフォンに搭載された赤外線深度センサーで、3次元の点群データとして対象物を捉えていたが、AR版では、iPhoneやiPadに搭載されているAR機能を用いて対象物を認識させるという。

測量から土量算出まで9割の作業時間を短縮

 2018年に大林組が開発した従来版は、赤外線深度センサーを搭載した専用スマートフォンが必要だったが、AR版では施工現場で広く普及しているiPhoneやiPadでの利用が可能となり、利便性が向上した。対応機種はiPhone 6s以降またはiPad第5世代以降で、OSはiOS 12.0以降のバージョン。

スマホdeサーベイAR版による測量風景と断面測量結果 出典:大林組

 現状測量する際には、トータルステーションや巻き尺などを利用するが、計測者は機器を操作する側とプリズムを持つ側の2人が必要なため、省人化/省力化できるツールが求められていた。

 AR版では、1人の計測者が画面上で地形の変化点ごとに仮想ポールを立てながら歩くだけで、ポール同士が線で結ばれ、断面図が作成される。断面図は画像データとして保存され、メールで関係者に送付することもできる。

スマホdeサーベイAR版による土量計測結果 出典:大林組

 また、トータルステーションの測量では、測量結果はPC上で図化して計算することにより土量を算出していた。AR版では、画面上に8点(上面4点、下面4点)の仮想ポールを立てて、測量範囲を指定することで、最大1000平方メートルの範囲にある土量を計測する。自動算出のため、測量から土量算出までに要する時間は、従来方法と比べて90%以上の短縮が見込める。計測精度では、高性能レーザースキャナーとの比較実験で、誤差3〜5%にとどまることも確認されている。

 大林組では今後、スマホdeサーベイAR版を社内標準のアプリとして、土木・建築工事に導入していく他、業界全体の生産性向上につなげるため、一般にも販売し、普及させていくとしている。

写真と合成した土量計測結果 出典:大林組

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