一方で、非住宅分野では、木+鉄のテクノストラクチャー工法に注力。これまでに、東京・町田の桜美林大学学生寮と高齢者住宅2棟、一般住戸で構成する「桜美林ガーデンヒルズ」を代表例に、工法を採用した物件は累計1000棟を超えている。中大規模建築物でも、耐震性や耐火性を木造でありながら確保できる点や最大10メートルの大スパンを可能にするメリットが需要にマッチして、診療所、幼稚園、高齢者福祉施設、店舗などからの引き合いが多数あるという。
ほかにも、ホームエレベーターを転用して、中規模施設や非戸建てに2〜4日の短工期と低コストの利点を強調して提案をしていく。さらに、不燃軽量天井材、土足対応の床材、内装ドア、ホテル用トイレ/バス/洗面ユニットなど、非住宅向け商品も順次拡充する。
海外市場に対しては、エリア特性に応じた「商品×パートナー」で海外展開を加速させる。タイでは現地メーカーと協業し、システムキッチンを2019年8月に販売。ユニットバスも、パナソニックの防水や内組工法の技術提供によって商品化する予定。
インドでは、キッチンを中心に、フランチャイズなどの現地販売店を11店舗開設し、2024年には40店舗にまで増やす。欧州は、AGCとの協業で業界最高クラスを謳(うた)う「真空断熱ガラス」、台湾はキッチンや2021年度に新モデルを投入する全自動おそうじトイレ「アラウーノ」などを代理店約50社に供給していく計画だ。
節目と見なす2030年までの市場予測と、長期的な成長戦略について山田氏は、「国内の住宅市場は、これからシュリンクをしていくだろう。しかし、断熱や省エネなどを含めリフォームや建て替えで約3000万戸のストックがあるとみており、海外は今後も伸長することも考慮すると、2019年度で280兆円の市場規模に対し、2030年度は464兆円と1.7倍にまで増大する」と予測する。
そのため、「国内住宅の新築で減少する2割程度は、リフォームにウェイトを移して事業規模は維持しつつ、その上乗せで非住宅や海外の売上比率を3倍に伸ばす。売上高で2030年度には5500億円を達成すべく、2022年には3カ年の新中期経営計画を練っていく」と展望を語った。
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