パナソニックが人の行動を促す屋外の“照明演出”「アフォーダンスライティング」の提供開始LED(1/2 ページ)

昨今、官民連携による屋外でのライトアップ演出事業が伸長しているといわれる。LED照明を主力事業の一つとしているパナソニックは、これまでにも公共施設や商業施設などで安全・快適・省エネを実現する照明空間を提供してきた。パナソニック エレクトリックワークス社が今般、発表した照明演出「アフォーダンスライティング」は、長年培ってきた街路灯照明の技術をベースに、光を高度にコントロールして、屋外の照明演出で人の行動作用にも変化を与える。

» 2021年11月04日 15時57分 公開
[川本鉄馬BUILT]

 パナソニック エレクトリックワークス社は2021年10月20日、大阪府門真市の本社で、「アフォーダンスライティング」の発表を行った。アフォーダンスライティングは、光の動きや明るさの変化などを利用した屋外照明の演出手法で、作り出した光で人の感覚や心理に働きかける。

 「アフォーダンス」とは認知心理学の概念で、「与える」「提供する」などを意味する“afford”を元とする造語。パナソニックの担当者は、アフォーダンスライティングを使った演出によって「街の体験価値向上を届けたい」と話す。

ナイトタイムエコノミーに照明で“賑わい”創出

 今回の発表会では、アフォーダンスライティングの「回遊」と「滞留」を紹介。回遊は人の徒歩移動で、滞留は公園のベンチやビューポイントなど、人がとどまるスポットを対象とした照明だ。

 アフォーダンスライティングでは、光の強弱や流れ、色の変化によって人に行動を促す。その1つ回遊は、人が歩くスピードに合わせ、明るく照らす場所を移動させていく。人が進む方向線上で、その人がいるほんの少しだけ前方を明るく照らすことで、速やかな移動を促す。被験者30人を対象とした回遊の実験では、光の動きが「目につく」「光の動く方向に歩きたい」などの回答項目に多くの票が集まった。

「回遊」を促すライティング。人の歩行速度に合わせて、光の明るい部分が移動。自分がいる位置の少し前が明るいと、そこに移動したくなる

 滞留は、人が集う場所と他の場所で明るさや色などにあえて差をつける照明方法。人にとどまってもらいたいと思うスポットでは、心地よく感じる照明とすることで、落ち着きや逆に賑(にぎ)やかな印象を与える。

人の感覚に訴える明かりで、意図する行動を促す「回遊」と「滞留」の照明演出
「回遊」実験のアンケート結果
「滞留」実験のアンケート結果

 光の変化を用いた照明演出は、いわゆるナイトタイムエコノミー(夜間経済)の活性化につながる。アフォーダンスライティングによる光の演出は、観光の促進や賑わいづくりに役立ち、光の演出で人が集い、人の移動が活性化すれば、周辺の店舗やサービスを利用することが期待される。

光の演出によって、屋外で過ごす時間をより楽しいものにする

 本社で会見したプロフェッショナルライティング ビジネスユニット 屋外・調光事業推進部 部長 横井裕氏は、事業戦略の説明で、「アフォーダンスライティングの提供を契機に、2025年までには、屋外ライトアップ演出事業の構成比率を従来の街路灯照明比で30%程度まで引き上げたい」とした。

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