テクノスは、誠和ダイアと共同で、橋梁床版切断工法「切り方じょうず」を開発した。同工法は、従来の通行止め後に施工する工法とは異なり、道路を供用しながら主桁から床版を切り離すため、床版取替期間と工事通行止め期間を短縮する。
テクノスは、誠和ダイアと共同で、橋梁床版切断工法「切り方じょうず」を開発した。切り方じょうずは、従来の通行止め後に施工する工法とは異なり、道路を供用しながら主桁から床版を切り離す。橋長300メートルでの試算で、床版取替期間を50%低減、工事通行止め期間を約18%短縮した。
日本の高速道路などの橋梁は、構築後50年以上経過したものが多く、老朽化した床版の取替工事では、通行止め期間を極力短縮する急速施工が求められている。プレキャストPC床版による急速設置工法はいくつか開発されているが、床版の急速解体工法はあまり存在しなかった。
同工法の特徴として、床版上には機器を置かず、床版下部に設置した機器のみで主桁と床版の切断作業を行う。コンクリート内の鉄筋や鋼材の影響を受けない切断機構を新たに開発したため、主桁に影響を与えず、±8ミリメートルという高い精度で、切断面積を最小限に切断できる。通行止め後の桁上のコンクリートの撤去作業も大幅に省力化する。
乾式高精度ワイヤーソーにより、従来工法に比べて切断時の騒音が小さく、泥水が発生しないため、周辺環境への影響を低減できる。
道路を供用しながら主桁から床版を切断し、切断予定箇所と切断完了箇所に、新開発の専用固定治具を取付けることで、切断後も切断前と同等の構造安全性を確保し、通行止め後の床版撤去工程を省力化した。
従来の油圧引き剥がし工法では、床版を油圧で剥がした状態で作業員が床版下部に入り、主桁と床版のずれ止め筋をガス切断していた。また、引き剥がし時の引張力により、腐食の激しい主桁に損傷を与える危険性があった。一方、切り方じょうずでは事前に床版を切断するのでこのような危険作業は発生せず、安全に床版を撤去できる。既存構造物への損傷の心配もないとしている。
通行止め期間中の撤去、設置の繰返し施工の省力化に加え、撤去と設置を分離施工し、さらなる省力化を目指す。切り方じょうずは非合成桁橋が対象だが、今後は合成桁橋への適用の可能性も検討していくという。
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